本館 14室
2010年8月10日(火) ~ 2010年10月3日(日)
仏教では音を出す仏具(梵音具。梵は「仏教の」という意味)が用いられます。よく知られているものに、寺院の鐘楼(しょうろう)に吊りさげ、朝に夕 に、つき鳴らされている梵鐘(ぼんしょう)がありますが、そのほかにも仏堂の内外につるして鳴らす鰐口(わにぐち)や雲版(うんぱん)、仏教の儀式の中で鳴らす磬(けい)、鉦鼓(しょうこ)、木魚(もくぎょ)などがあります。
音を鳴らすという行為の目的としては、ひとつには法要や儀式の中で、音により時間の区切りをつけたり、進行のリズムを作るということもありますが、何よりも音を出すことで宗教的雰囲気を高め、仏心を呼び覚ますという思想が根本にあると考えられます。
梵音具は個々の名称もそうですが、それぞれに独特の形状をしており、中には鐘や磬のように、はるか古代中国の青銅器に形式の起源をもつ例もあります。ま た同じ鐘でも、日本と朝鮮半島では明らかな形式の違いを見てとることができます。こうしたさまざまな梵音具の、独特の造形美、仏具としての機能美をお楽し みください。