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香りをたのしむ-香道具-

  • 『蔦細道蒔絵沈箱 室町時代・16世紀』の画像

    蔦細道蒔絵沈箱 室町時代・16世紀

    本館 14室
    2011年1月2日(日) ~ 2011年2月20日(日)

     香りには人々の心を和ませたり、気分を転換したりといった効用があります。日本でも古くからこうした香りの 効能が利用されてきましたが、室町時代以降、香をたいて楽しむ遊びが大いに発展しました。そのせいか香道具には形式にとらわれず、遊び心に溢れた作品が数 多く見られます。

       中でも種々の香木をたいて、香の名前を言い当てる遊び「組香(くみこう)」に用いる道具類は、造形的にも遊戯性が高いものです。特に人形や造花などを盤 の上に並べ、香を聞き当てた数によって、動かしたり、取り合ったりして勝ち負けを競うゲームには、精巧なミニチュア玩具のような作品もあります。

       また沈箱(じんばこ)や香合など、香木片を収める容器にも自由に趣向が凝らされ、ヴァラエティに富んだ姿が見られます。細々とした香合をいくつも内蔵する沈箱や、釣鐘や太鼓、団扇や笈(おい)など小さいながらもさまざまな器物を象った香合は、とても愛らしいものです。

       さらに香木を切り出して割る道具から、香をくゆらす香炉、たき終えた香木片を入れる焚殻入(たきがらいれ)まで、手中に収まる小さな器具類にも、それぞ れに蒔絵などの漆芸技法によって入念に文様が描かれています。蒔絵で精緻に飾られた作品を中心に、香道具の繊細優美な世界をお楽しみ下さい。

主な出品作品

*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
山水蒔絵十種香箱 江戸時代・18世紀
蔦細道蒔絵沈箱 室町時代・16世紀