本館 14室
2009年12月22日(火) ~ 2010年2月14日(日)
東京国立博物館は、2004年に350件余りの作品からなる古代ガラス・コレクションの寄託を受け、整理研究を続けています。2007年度はさまざまな容器類を、また2008年度はササン朝ペルシアのものを中心とする「切子ガラス」の容器類をご覧いただきました。2009年度は、「吹きガラス」がテーマです。
「吹きガラス」の制作は、前1世紀の地中海東部地方で始まりました。「吹き技法」とは、熱して水飴のように融けたガラスに息を吹き込んで、容器を効率よく 作る新技術です。宙で吹いたり、決まった形の型の中に吹き込んだりして、いかにもガラスらしいガラス器が作られ、地中海世界から西アジアにかけて、広まり ました。多くのものは廉価な普及品でしたが、庶民の手が届かない少数の高級品も新たに生まれました。
この特集陳列では、コア技法、鋳造技法、熱垂下技法などを使って作られた古い時代のガラス器類から、「吹き技法」が普及した後の作品65件をご覧いただき ます。私たちが毎日のように手にするガラス器の多くは吹きガラスです。2000年余り前に始まった技術は今も健在です。