本館 9室
2010年1月13日(水) ~ 2010年3月7日(日)
舞楽は、8世紀末に中国・朝鮮などアジア大陸から流入した、舞を伴う音楽です。奈良時代から平安時代にかけ て、宮廷や社寺の式楽儀式の際に演奏する音楽として日本独自の発展を遂げました。その伝統は中世・近世に受け継がれ、主として、公家や社寺の年中行事の中 で続けられてきました。宮廷文化や社会に関するさまざまな典例を重んじる宮廷では、舞楽装束にも伝統的な様式が色濃く残っています。
舞楽装束は曲目によって次のように区別されます。
唐楽(とうがく) | : | 中国系の舞楽で「左方(さほう)」と呼ばれ、装束の色は赤系が基調。 |
高麗楽(こまがく) | : | 朝鮮系の舞楽で「右方(うほう)」と呼ばれ、装束の色は青系が基調。 |
また、舞の形態によって大きく3つに分類されます。
平舞(ひらまい) | : | 数人で舞う静かな動きの舞で、下襲(したがさね)・半臂(はんぴ)・袍(ほう)を重ね着し、鳥兜(とりかぶと)をかぶった常(つね)装束を着用。 |
武舞(ぶまい) | : | 剣や鉾(ほこ)を持って舞う勇壮な舞で、下級武官の衣装に準じた蛮絵(ばんえ)装束を着用。 |
走舞(はしりまい) | : | 面を掛け活発に舞う舞で、裲襠(りょうとう)という貫頭衣(かんとうい)をつける裲襠装束を着用。 |
その他、「胡蝶(こちょう)」や「迦陵頻(かりょうびん)」など、小さな子どもが舞う愛らしい童舞(どうぶ)があります。
今回の展示では、つがい舞とされている走舞「納曽利(なそり)」と「陵王(りょうおう)」の面と装束を中心に、雅楽に用いられる楽器などを展示いたしま す。宮廷文化が育んできた、雅な色と文様の世界をお楽しみください。