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武家の服飾

  • 『振袖 鬱金色綸子地牡丹橘網模様 旧久留米藩藩士家伝来 江戸時代・18世紀』の画像

    振袖 鬱金色綸子地牡丹橘網模様 旧久留米藩藩士家伝来 江戸時代・18世紀

    本館 特別2室
    2009年6月24日(水) ~ 2009年7月20日(月・祝)

     武士が宮廷貴族に代わって政治の表舞台に立ったのは、鎌倉幕府が成立して以降のことです。当初は正装には宮 廷貴族と同様の束帯を用いていた武士ですが、時代が下るにつれて、武士の仕事着であった直垂(ひたたれ)や素襖(すおう)といった装束を、威儀を正して着 用するようになりました。戦の際、武将たちが陣内で鎧の上に着用した陣羽織(じんばおり)からは、合戦に明け暮れる中で生まれた独特の美意識がうかがえま す。陣羽織には鳥や動物の毛や南蛮貿易(なんばんぼうえき)をで輸入された異国の裂(きれ)、服飾品など、珍しい素材が用いられました。派手な色を使い、 技巧を凝らした、時には奇抜な意匠には、目を見張るものがあります。個性的な陣羽織で着飾った武将たちは、晴れの舞台であった戦場へと華麗に出陣したので す。

      武士の妻や娘たちもまた、鎌倉時代には宮廷女性の装束である袿袴(うちきはかま)を着用していましたが、室町時代になると、小袖を表着(うわぎ)として 打ち掛け、袴を省略した着装に変化します。江戸時代後期には、小袖や帯のデザインにおいては武家女性独特の様式が確立し、大奥は、町の女性では到底着用で きないような刺繍や織物の打掛で華やいでいました。

      今回は安土桃山時代の武将や、江戸時代中期から後期にかけての大奥の女性たちの服飾を中心に、威厳と誇りを主張した武家独特の豪壮な服飾を紹介いたしま す。
主な出品作品

*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
振袖 鬱金色綸子地牡丹橘網模様 旧久留米藩藩士家伝来 江戸時代・18世紀
重要文化財 小袖 白茶地桐竹模様綾 益田宗兼(1545没)が足利第10代将軍義稙より拝領 室町時代・16世紀
重要文化財 胴服 浅葱白紫染分練緯地雪輪銀杏模様 石見銀山見立役・吉岡隼人が徳川家康より拝領 安土桃山時代・16~17世紀
関連事業

列品解説「武家の服飾―戦う武士の装い、大奥のファッション―」
平成館企画展示室 2009年6月30日(火) 14:00 受付終了
講師:特別展室主任研究員 小山弓弦葉