本館 特別1室
2009年2月3日(火) ~ 2009年3月15日(日)
狩野探幽(かのうたんゆう)、円山応挙(まるやまおうきょ)、酒井抱一(さかいほういつ)、谷文晁(たにぶんちょう)…いずれも江戸時代の絵画の名手として知られています。彼らの筆跡が注目される機会は、従来それほど多くなかったのではないでしょうか。
筆跡のなかでもとりわけ手紙は、用件の伝達が済めばその役割を終えるため、その大半はある時期にまとめて破棄されるか、時とともに散逸するかの運命にあります。したがって、ある時期当事者の手元を離れ、さらに所蔵先を変え、時代を経て博物館で展示されるなど、差し出した画家からすれば、想像だにせぬことでしょう。
さて、画家の日常を伝える手紙の多くは、彼らの画家という顔以外の顔を浮彫りにしてくれるようです。彼らは俳人、学者などさまざまな顔をもち、好奇心旺盛で、絵画をも得意とした才人といってよいかもしれません。
彼らの、ありのままの姿を伝える自筆の手紙に焦点をあてることで、折々の画家の内面の一端を浮かび上がらせ、絵画作品を主体に語られることが多い人物像に新たな彩りを加えるきっかけとなれば幸いです。