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インドネシアの染織

  • 『肩衣(スリムット) 人物幾何学文様経絣 インドネシア・カリマンタン島 19世紀 』の画像

    肩衣(スリムット) 人物幾何学文様経絣 インドネシア・カリマンタン島 19世紀

    東洋館 第3室
    2009年4月7日(火) ~ 2009年6月7日(日)

     インドから更紗(さらさ)や絣(かすり)の技法が入ってきたことによってインドネシアの染織は発展を遂げま した。その色と模様、技法からはインドネシアのそれぞれの島特有の模様や技法がうかがえます。特に、19世紀から20世紀にかけて生まれたとされるインド ネシアの更紗と、絣織物は特徴的です。

      蝋防染(ろうぼうせん)を用いる「更紗」はインドでも作られていますが、インドネシアの更紗は特に「バティック」と呼ばれています。バティックは、茜染 (あかねぞめ)を中心とするインドの更紗とはまったく異なる色彩で我々を魅了します。チャンティンと呼ばれる道具に溶かした蝋を入れ、木綿地に模様を描き ます。その後、藍や茶色系の染料で染め、蝋を落とすことによって、藍・茶・白が調和した細密な染模様が現れるのです。上等のものにはさらに金箔をはった模 様を施し、婚礼などの特別なときにのみ着用します。

      「絣」とは規則的な染め斑のある絣糸を用いることで模様を織り表わした織物のことです。絣には経糸(たていと)のみに絣糸を用いた「経絣(たてがす り)」、緯糸(よこいと)のみに絣糸を用いた「緯絣(ぬきがすり)」、経緯双方に絣糸を用いて複雑な模様を校正する「経緯絣(たてぬきがすり)」の、大き く分けて3つの技法があります。インドネシアの絣織は特にイカットと呼ばれ、インドのパトラという絹の経緯絣に強く影響を受けているといわれます。パトラ とイカットは、糸や織り方は異なりますが、模様にその影響が見られるのです。17世紀初頭、ヨーロッパの国々が東インド会社を設立したことで、東南アジア 地方にインドの染色品が大量に輸出された頃、パトラがインドネシアに伝わったのでしょう。

      今回の展示では、バティックやイカットのほか、縫取織(ぬいとりおり)や絞り染(しぼりぞめ)などもあわせて紹介します。布面を埋め尽くすように模様を 表した広い布は、南国の高温多湿の気候に適した衣料として、肩や腰に巻きつけるように着用します。明るい太陽の下で人々を彩る色と模様の世界をごらんくだ さい。

主な出品作品

*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
ドドット 茶地ガルダ模様更紗 インドネシア・ジャワ島中部 19世紀
肩衣(スリムット)  藍地動物文様経絣 インドネシア・スムバ島 19世紀