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「名物裂」にみる文様Ⅱ―禽獣文―

  • 『紺地蓮池水禽文金襴(和久田手金襴) 前田家伝来 明時代・16~17世紀』の画像

    紺地蓮池水禽文金襴(和久田手金襴) 前田家伝来 明時代・16~17世紀

    東洋館 第5室
    2008年7月29日(火) ~ 2008年10月19日(日)

     「名物裂」は、広くは鎌倉時代から江戸時代初期にかけて中国などからもたらされた染織品の一群で、中国の 元・明・清時代に中国などで製作された金襴(きんらん)・緞子(どんす)・錦(にしき)・間道(かんどう)などが含まれます。大名家や社寺などに所蔵さ れ、茶の湯で使われる道具類の一つである仕覆(しふく)や袋、書画の表装裂(ひょうそうぎれ)などに用いられています。

      名物裂の文様をテーマにした4回のシリーズの2回目は、龍(りゅう)や兎(うさぎ)といった動物をはじめ、鳳凰(ほうおう)・鶴・水禽(すいきん)など の鳥や魚をモチーフにした禽獣(きんじゅう)文様にスポットをあてます。これらの文様は、単独で用いられることもありますが、複数の文様を組み合わせる場 合が多くみられます。わきあがる雲に飛(翔(ひしょう)する鶴をあらわした「雲鶴文緞子(御朱印裂)」、前足をあげ花樹を振り返る可愛らしい兎を連続した 「花兎文金襴(角倉金襴)、蓮池に数種の水鳥や魚を配した風景文様をおもわせる「蓮池水禽文金襴(和久田手金襴)」等が展示されています。「名物裂」のな かには特定の名称で呼ばれているものもあります。例えば「角倉(すみのくら)」は京都の商人、角倉了以 (1554~1614) が愛用したことからつけられたもの、「二人静」は足利義政 (1436~1490)が二人静の舞の衣装に用いたことから、このように呼ばれるようになりました。金襴や緞子にみられる禽獣文の数々をご覧いただきま す。

      年4回のシリーズで、「名物裂」にみる文様を特集いたします。詳しくは年間の特別展・平常展のページをご覧ください。

主な出品作品

*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
紫地向鳳凰丸文金襴(二人静金襴) 明時代・14~15世紀
紺地蓮池水禽文金襴(和久田手金襴) 前田家伝来 明時代・16~17世紀