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古代の輝き ペルシアのガラス器 ―切子の世界―

  • 『二重円形切子碗 イラン出土 ササン朝・6世紀 個人蔵』の画像

    二重円形切子碗 イラン出土 ササン朝・6世紀 個人蔵

    東洋館 第3室
    2008年11月18日(火) ~ 2009年2月1日(日)

      近年、東京国立博物館では、350件余りからなる古代ガラス・コレクションの寄託を受け、整理研究を続けて います。それらは地中海東部から中央アジアに至る広い地域で出土した作品群です。その中から、昨年度は各種の容器類をご覧いただきましたが、今回はペルシ アを中心とする「切子(きりこ)ガラス」の容器をテーマに展示いたします。

      切子とは器物の表面を、グラインダー(回転ヤスリ)で削って装飾する技法で、「薩摩切子」や「江戸切子」のように、日本の伝統工芸に も見られます。この技法は、紀元前5~紀元前4世紀にはアケメネス朝ペルシアでも用いられましたが、3~6世紀のササン朝時代には大発展をとげ、切子ガラ スは国際的ヒット商品となりました。また、切子の技法はヘレニズム時代以降の地中海地方でも広く見られ、イスラム時代にも継承されました。

      わが国に伝わったペルシアの切子ガラス器もあります。東大寺正倉院の白瑠璃碗(はくるりわん)(5~6世紀制作)が有名ですが、平成 館考古展示室にある、伝・安閑天皇陵(6世紀)出土の円形切子碗も、シルクロードを経てはるばる運ばれた古代の輝く宝器の好例です。(※平成館考古展示室 は、2008年11月17日(月)から2009年1月1日(木)まで閉室いたします。)

主な出品作品

*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
切子鉢 イラン出土 アケメネス朝・前5~前4世紀 個人蔵
ロータス文切子杯 地中海東部出土 ヘレニズム・前3~前2世紀 個人蔵
二重円形切子碗 イラン出土 ササン朝・6世紀 個人蔵
円形切子台付杯 イラン出土 ササン朝・6世紀 個人蔵
浮出円形切子舟形杯 イラン出土 ササン朝・6~7世紀 個人蔵
切子杯 イラン(グルガン)出土 イスラム・9世紀 個人蔵
関連事業

列品解説 「切子ガラス」
本館20室:2008年12月16日(火) 14:00 受付終了
講師:上席研究員 後藤健