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悠久の美―中国国家博物館名品展

  • 『犀尊 前漢時代・前3~前1世紀 中国国家博物館蔵』の画像

    犀尊
    前漢時代・前3~前1世紀 中国国家博物館蔵

    平成館 特別展示室第3室・第4室
    2007年1月2日(火) ~ 2007年2月25日(日)

    日中国交回復35周年および日本中国文化交流協会創立50周年を記念し、新石器時代から唐、五代まで約5000年間の中国古代の美の精髄を、北京の中国国家博物館が所蔵するえりすぐりの名品61件でご堪能いただきます。

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開催概要
会  期 2007年1月2日(火)~2月25日(日)
会  場 東京国立博物館 平成館 特別展示室第3・4室 (上野公園)
開館時間 9:30~17:00 (入館は閉館の30分前まで)
休館日 月曜日、2007年1月4日(木)
(ただし1月8日(月・祝)、2月12日(月・休)は開館、1月9日(火)、2月13日(火)は休館)
観覧料金 一般1300円(1100円/1000円)、大学生800円(700円/600円)、高校生700円(600円/500円)
中学生以下無料
( )内は前売り/20名以上の団体料金
障害者とその介護者一名は無料です。入館の際に障害者手帳などをご提示ください。
前売券はJR東日本みどりの窓口・びゅうプラザ、チケットぴあなどで2006年11月20(月)より発売。
「悠久の美」展 観覧券で「マ-オリ -楽園の神々-」(2007年1月23日(火)~)および平常展もご覧いただけます。
東京国立博物館キャンパスメンバーズ会員の学生の方は、当日券を700円(100円割引)でお求めいただけます。正門観覧券売場(窓口)にて、キャンパスメンバーズ会員の学生であることを申し出、学生証をご提示下さい。
特別展「悠久の美―中国国家博物館名品展」会期終了後の2007年2月27日(火)~3月18日(日)まで、本特別展半券を当館正門 観覧券売場にてご提示いただければ、当館平常展を半額の割引料金でご覧いただけます。詳しくはこちら
交  通 JR上野駅公園口・鶯谷駅より徒歩10分
東京メトロ銀座線・日比谷線 上野駅 、千代田線 根津駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分
主  催 東京国立博物館、日本中国文化交流協会、朝日新聞社、中国国家博物館
後 援 外務省、文化庁、中国大使館、中国文化部、中国国家文物局
協 賛 トヨタ自動車株式会社、野崎印刷紙業株式会社
協 力 全日本空輸株式会社
お問い合わせ 03-5777-8600 (ハローダイヤル)
展覧会サイト http://www.asahi.com/china07
展覧会公式サイトは会期終了時をもって終了いたしました。
関連事業
講演と朗読の会
平成館 大講堂 2007年1月6日(土) 13:30~15:00 受付終了
出演: 作家、日本中国文化交流協会会長 辻井 喬氏
俳優、日本中国文化交流協会代表理事 栗原 小巻氏
記念講演会
「中国考古学五千年」
平成館 大講堂 2007年1月27日(土) 13:30~15:00受付終了
講師:列品課長 谷 豊信
同時期開催
特別展 「マーオリ -楽園の神々-」
会期:2007年1月23日(火)~3月18日(日)
会場:平成館 特別展示室第1・2室

ニュージーランドの先住民マーオリの美術をご紹介します。猛獣のいない豊饒の楽園で育まれた独特の木彫芸術、民族の誇りを示すカヌー、武勇の象徴である武器、グリーンストーンのペンダントや鳥の羽のマント、太平洋から来た先祖以来の漁撈具など約120件を展示します。
「博物館に初もうで」
会期:2007年1月2日(火)~1月28日(日)
新春特別展示「亥と一富士二鷹三茄子」などの展示と、和太鼓や獅子舞をはじめ伝統芸能もお楽しみいただける新春企画です。にっぽんのお正月を東博で。国宝 松林図屏風も公開されます。
主な展示作品 *すべて中国国家博物館の所蔵品です。
彩陶罐   彩陶罐 (さいとうかん)
新石器時代(馬家窯文化)・前3100~前2800年頃
甘粛省永靖県三坪出土
口径18.4cm 高さ50cm 底径15.9cm


 彩陶は中国の新石器時代を代表する土器のひとつです。なかでも黄河上流域の甘粛省では、光沢のある橙色の器面に渦がうねるような文様を黒で描く、力強い彩陶が作られました。本作品は、ダイナミックな文様表現のなかにも、絶妙なバランスと秩序が保たれ、みなぎる生命感と静かな安定感が融合した、彩陶の白眉でといえます。墓からの出土品である本作は、死者にたむける液体か食糧をいれるものだったのでしょうか。
玉龍   玉龍 (ぎょくりゅう)
新石器時代(紅山文化)・前3500~前3000年頃
内蒙古自治区翁牛特旗三星他拉村出土
長さ26.5cm 最大幅26cm


 彫像としては最古の龍のひとつです。深い緑色をたたえた玉塊をC字形に丸彫りした後、丁寧な研磨と線刻を施して龍の姿を作り出しています。紅山文化には様々な動物をかたどった玉製品が知られていますが、これほどの大きさのものは他にはありません。今から5000年以上前、龍がいかに特別な存在であったかを物語っています。胴体の中央部には裏表両面から孔が穿たれています。あるいは紐をとおして何かに吊るし、崇拝の対象としたのかもしれません。
鉞   (えつ)
商時代・前13~前11世紀
山東省青州市蘇埠屯出土
長さ31.7cm 幅35.8cm


 鉞は木の柄に着けて、いけにえや罪人などの首を叩き切るための道具です。この鉞の両面には、とりわけ威圧感のある大きな顔が作り出されています。なかでも鼻の形は当時の「王」字とよく似ています。まるで裁きの権力を象徴するかのような造型です。山東省青州市蘇埠屯遺跡の大墓から、この鉞とともに人頭骨24個と、「亜醜」の銘文を持つ青銅器3点が出土しました。この墓には「亜醜」族で殺生与奪の権限を握っていた首長が葬られたのでしょう。
四羊尊   四羊尊 (しようそん)
商時代・前13~前11世紀
湖南省寧郷市月山鋪出土
口辺長44.4cm 高さ58.6cm 重さ34.5kg


 紀元前13世紀以降、商王朝の青銅器の影響を受けつつも、長江流域などでは地方独自の青銅器が作られるようにりました。1938年に湖南省寧郷市の小さな丘から出土した四羊尊はその典型で、4匹の羊を中心とした装飾はめずらしいものです。複雑な立体造形と器面をうめつくす精緻な文様表現をこれだけ美しく鋳上げることは至難の技。商代青銅器工芸の金字塔といってもいいでしょう。四羊尊が出土した45年後には、重さ200kgを超える巨大な鐃(鐘の一種)が同じ丘で発見されました。そこはかつて青銅器を埋納する聖地であったのかもしれません。
天亡き   天亡き (てんぼうき)
西周時代・前11世紀
陝西省岐山県礼村出土
口径21cm 高さ24.2cm 最大幅23.7cm


 「き」は食べ物を盛って神や先祖の霊に供える容器です。器の内面に、「商王朝を滅ぼして西周王朝をたてた武王が、亡くなった父、文王の祭りを行なった。この祭りを助けた天亡(人名)が、この器を作った」という意味の77字の銘文があり、武王あるいはその子の成王の時代に作られたものであることがわかります。考えられます。19世紀に出土して以来、西周王朝初期の代表的な青銅器として著名な作品です。また銘文は、漢字の変遷を知る上でも貴重な資料です。
犀尊   犀尊 (さいそん)
前漢時代・前3~前1世紀
陝西省興平市豆馬村出土
高さ34.6cm 長さ58.1cm 幅21.0cm


 たくましい犀の姿を写実的に表した青銅器。尊とは酒を蓄える容器です。背中に蓋があり、ここから液体を入れ、顔の右側に作り出した管から注ぎだすようになっています。ガラス製の眼とかわいらしい尾が全体を引き締めています。犀をよく知るものでなければなしえないみごとな表現です。顔と体の全面に、凹凸と金銀の象嵌(ぞうがん)によって、幻想的な紋様を表しています。これはこの犀が現実の生き物ではなく、神聖な存在であることを示しています。中国古代の彫刻作品でも屈指の名品です。
説唱俑   説唱俑 (せっしょうよう)
後漢時代・2世紀
四川省成都市天回山出土
高さ55cm


 説唱俑とは、故事や物語を面白おかしく語り聞かせた芸人をかたどった俑です。四川省の後漢墓からは、表情も姿勢も多彩な説唱俑が出土します。なかでも本作品は、表情と動きに生気がみなぎっています。当時の兵馬俑、侍従俑、舞楽俑等は型から同じものを大量生産したため、表情があまりはっきりしません。対照的に、説唱俑の豊かな表情や臨場感は型作りでは表現できないものです。手作りならではの傑作といえます。
青磁羊   青磁羊 (せいじひつじ)
三国時代(呉)・3世紀
江蘇省南京市清涼山出土
長さ31.7cm 高さ24.9cm 幅15.5cm


 たたずむ羊の姿を量感豊かに表現しています。写実的でありながら、霊獣によく描かれた翼状の装飾を胴の両側に持ち、何かを挿しこんだと思われる孔が頭上に開いています。くすんだオリーブ色の釉は、後漢・六朝時代の初期青磁(古越磁)の特徴のひとつです。メリハリのきいた造形と、落ち着いた釉調は古越磁の至宝と呼ぶにふさわしいものです。同じ墓の出土品がもつ呉「甘露元年(265)」の銘により、製作年代がほぼ確定できるため、この本作品は、青磁の変遷を知る上での重要な一里塚でもあります。
金杯   金杯 (きんぱい)
隋時代・6~7世紀
陝西省西安氏李静訓墓出土
口径5.7cm 高さ5.7cm 重さ49.4g


 9歳で亡くなった幼い皇女の墓から発見された約200点の副葬品のひとつ。高めの脚を備えた半球形の器で、液体をいれて飲む容器として用いられました。器と脚はそれぞれ別の金の薄板を打ち延ばして成形した後、それらを溶接して仕上げています。口縁から脚下端にかけて4条の突帯が設けられ、薄く脆弱な金の器体が補強されていますが、これは以後の中国金銀器に長く踏襲された技法です。器の形式から、西アジアなど、中国以外で制作されたとする見解もあるように、西方的な作風を示す作例で、中国において金銀器制作が全盛を極める次代・唐の先駆けとなる稀少な遺品です。