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市河米庵コレクション

  • 『四季花鳥図巻(部分) 王岡筆 清時代・18世紀』の画像

    四季花鳥図巻(部分) 王岡筆 清時代・18世紀

    東洋館 第8室
    2008年7月8日(火) ~ 2008年9月7日(日)

     「幕末の三筆」と称され、多くの門弟を擁した書家・市河米庵(いちかわべいあん) (1779~1858)は、書画や骨董の熱心な収蔵家でもありました。その収蔵品は、日本や中国の書画・拓本・古器物・文房具など、広範な分野に及び、一千余件を数えたと伝えられています。米庵は晩年、それらの豊富な収蔵品の中から、中国の書画や古器物260余件を精選し、『小山林堂書画文房図録(しょう ざんりんどうしょがぶんぼうずろく)』を上梓しました。各収蔵品については、材質・法量を記し、入手の経緯や作者の考証に及ぶものもあります。

      米庵の収蔵品は、その歿後に散佚(さんいつ)してしまいましたが、ご令息の市河三兼(いちかわさんけん)氏が再収集に尽力され、明治33年 (1900)、東京帝室博物館(東京国立博物館の前身)に寄贈されました。これより先、米庵が昌平黌(しょうへいこう、現・湯島聖堂)に寄託していた書画・拓本類も、ご令孫の市河三鼎(いちかわさんてい)氏によって当館に寄贈されています。

      今回は、これらの寄贈品の中から、米庵の図録に掲載されている中国の書画や、硯(すずり)・筆筒(ひっとう)・青銅器など、米庵遺愛の品々を展示いたし ます。その中には書画史には名を列ねない作家のものも含まれますが、江戸時代の文化を考究する上で貴重な資料となっています。中国の文化に心酔し、「衣を典(てん、質に入れること)し食を損し、百計もてこれを購(あがな)」った米庵コレクションの一部をご覧ください。

主な出品作品

*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
墨梅図 陳録筆 明時代・正統11年(1446) 市河三兼氏寄贈 (2008/8/3まで展示)
羅漢図 伝禅月筆 明時代・17世紀 市河三兼氏寄贈 (2008/8/5から展示)
もう川積雨図 謝時臣筆 明時代・16世紀 市河三兼氏寄贈 (2008/8/3まで展示)
清渓画舫図 呉令筆 明時代・17世紀 市河三兼氏寄贈 (2008/8/3まで展示)
紅梅図 沈襄筆 明時代・17世紀 市河三兼氏寄贈 (2008/8/3まで展示)
月梅図 劉世儒筆 明時代・16世紀 市河三兼氏寄贈 (2008/8/5から展示)
秣陵春早図 謝時臣筆 明時代・16世紀 市河三兼氏寄贈 (2008/8/5から展示)
墨菜図 虚仙筆 明時代・17世紀 市河三兼氏寄贈 (2008/8/5から展示)
四季花鳥図巻 王岡筆 清時代・18世紀
小山林堂書画文房図録 市河米庵編 江戸時代・嘉永元年(1848)
淳煕零紙 南宋時代・淳煕11年(1184) 市河三兼氏寄贈
草書観世音賛軸 中峯明本筆 元時代・14世紀 市河三兼氏寄贈
行書詩書巻 莫是龍筆 明時代・万暦8年(1580) 市河三鼎氏寄贈
臨欧陽詢書軸 王じゅ筆 清時代・17~18世紀 市河三鼎氏寄贈