本館 16室
2008年7月8日(火) ~ 2008年8月3日(日)
明治初期、当館の前身、文部省博物局による国内の古美術品の収集と保存は、明治8年(1875)にウィーン で開催された万国博覧会への出品をひとつの目的としていました。同じように、明治期に国内外で多数開催された博覧会や展覧会は、文化財の調査と博物館への 作品の集積を推しすすめるきっかけともなりました。
すでにこの頃、「写真」という記録手段が使われています。明治5年(1872)に、江戸城の撮影をし、壬申検査(じんしんけんさ)という文化財調査に写 真を導入した明治政府の担当者は、記録媒体としての写真の有効性を理解していたのでしょう。彼らは博覧会や展覧会に出品された古美術品の撮影を積極的に行 ない、情報を集積すると同時に外部にも伝えていったのでした。
今回の特集陳列では、『墺国維府博覧会(おうこくいふはくらんかい)出品撮影』など、明治前期にウィーンやパリで開催された万国博覧会の様子や出品作品 を今に伝える写真帖、古美術の観賞会であった観古美術会(かんこびじゅつかい)に出品された作品の写真、さらに美術写真家の先駆けのひとりといえる工藤利 三郎の作品を展示し、美術品の記録としての写真を紹介いたします。