本館 14室
2008年1月2日(水) ~ 2008年2月24日(日)
東大寺大仏殿の北西にある、校倉造りの「正倉」に伝わった正倉院宝物。宝物のほとんどは8世紀の作品で、天平勝宝8年(756)、聖武天皇の四十九日にあたり后の光明皇后が東大寺盧舎那仏に献じた、天皇遺愛の品々を中心としています。正倉院宝物には、大陸からの舶載品が多く含まれており、当時わが国に絶大なる影響を及ぼした唐の文化や、シルクロードで連なる西域の文物の要素が色濃く表われた作例が数多く見られ ます。宝物は、国際性に溢れる当時の文化のありようを、如実に物語っているのです。その意味で、正倉院宝物は世界的な至宝とも称えられています。
こうした正倉院宝物の存在意義は、明治初年には既に認識されており、やがてその模造の制作が始められました。現在当館には、宝物を代表する華やかな作品 の模造がまとまって保管されています。復原的な模造には、それを制作した時点における原品への理解が現れており、現在解明されている宝物の実態とは若干異なっている例も見られます。しかし、これら華麗な品々の放つ異国情緒こそ、正倉院宝物を生みだした天平文化のエッセンスと言えるでしょう。