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博物館に初もうで 新春特別展示「子年に長寿を祝う」

  • 『豆鼠木彫根付 江戸時代・19世紀 上田令吉氏寄贈』の画像

    豆鼠木彫根付 江戸時代・19世紀 上田令吉氏寄贈

    本館 特別1室・特別2室
    2008年1月2日(水) ~ 2008年1月27日(日)

      新春のお正月特集陳列として、新年の干支である「ねずみ」にちなんだ作品を展示します。ねずみはミッキーマウスに代表される「愛らしい」「かわいい」といった感じ方もありますが、どちらかといえばマイナスイメージでとらえられることもあります。しかし、哺乳類の中でも多産であるねずみは、古来より中国・朝鮮半島を中心とした東アジアにおいて、「子宝」や「繁栄」「幸福」の象徴として人々に受け取られていました。今回はねずみを題材とした絵画や工芸作品を中心に、我々日本人とねずみとの関わりを示してくれる歴史資料なども紹介します。

      もう一つのテーマは「長寿を祝う」です。今でこそ我々は年を数える際、誕生日ごとに加齢していく「満年齢」が一般的ですが、一昔前にはいわゆる毎年正月にいっせいに加齢する「数え年」が当たり前で、一族など構成する組織・共同体全員で新年を迎えることが重要と認識されていました。古くから公家や武家社会において季節ごとに種々の儀式が行われてきましたが、正月の儀礼は重要とされてきました。これらには新年を祝う=新たな年を迎えられたことを喜ぶ→その年の息災を願う→長寿を祈るといった趣旨をもつものが多々あります。ここでは「長寿」「吉祥」「儀礼」などをキーワードにして、関連する作品を展示します。 またこのテーマには「新春に博物館にご来館された皆様の長寿を祝う」という博物館からの願いもこめられています。

主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
鼠草紙 江戸時代・18世紀
十二神将立像 子神 鎌倉時代・12~13世紀 神奈川・曹源寺蔵
染付鼠に大根図菊形皿 伊万里 江戸時代・19世紀 平野耕輔氏寄贈
重要文化財 鼠瓜図(唐絵手鑑「筆耕園の内」) 伝銭選筆 南宋時代・13世紀
篆書百福寿(七歳書)  佐藤一斎筆 江戸時代・安永7年(1778) 河田燕氏寄贈
叢梨地花鳥山水蒔絵脇指  (金具) 後藤一乗作 江戸時代・19世紀

 

開催概要
会  期 2008年1月2日(水)~1月27日(日)
会  場 東京国立博物館
開館時間 9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日 月曜日
(ただし、1月14日(月・祝)は開館、翌15日(火)は休館)
観覧料 平常料金でご観覧いただけます。
一般600円(500円)、大学生400円(300円)
高校生以下、満70歳以上の方は無料
( )内は20名以上の団体料金
障害者とその介護者1名は無料です。入館の際に障害者手帳などをご提示ください。
東京国立博物館キャンパスメンバーズ会員の学生の方は、無料です。正門観覧券売場(窓口)にて、キャンパスメンバーズ会員の学生であることを申し出、学生証をご提示下さい。
陽明文庫創立70周年記念特別展「宮廷のみやび―近衞家1000年の名宝」は別途観覧券が必要です。
交  通 JR上野駅公園口・鶯谷駅から徒歩10分
東京メトロ銀座線・日比谷線 上野駅 、千代田線 根津駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分
お問い合わせ     03-5777-8600(ハローダイヤル)
■ 新春の国宝室 松林図屏風
本館2室 2008年1月2日(水)~1月14日(月・祝)

国宝 松林図屏風(部分)
国宝 松林図屏風(部分)
長谷川等伯筆
安土桃山時代・16世紀

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   筆の穂をいくつか重ねた連筆(れんぴつ)や竹の先を細かく砕いて筆にした竹筆を使い、粗く大胆に松林を描いています。墨の濃淡で光の強弱を生み出すことによって、霧につつまれ、あらわれ消える松林の風情がみごとにあらわしています。四つほどのグループに描き分けられた松林は、木々の間を風が通り抜けるように配置されており、料紙に漉き込まれた粗い繊維が、風に吹かれて舞う松葉のようにもみえます。霧の晴れ間から遠く雪山がのぞき、 早朝の冷たく湿った空気感が漂います。

料紙の紙質や紙の継ぎ方のみだれから、この作品が襖絵の草稿(下絵)であったのではないかという説がありますが、最高級の墨、超絶した技、そして緻密な計算によって描かれたこの屏風には、単なる下絵としてとらえきれないものがあります。

等伯は、狩野永徳とならび安土桃山時代を代表する画家ですが、この松林図は、等伯が深く傾倒し研究を重ねた中国の水墨画を日本において究極の地点に到達させた、近世水墨画の最高傑作といえるでしょう。

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■ 新春の国宝室 秋冬山水図
本館2室 2008年1月16日(水)~1月27日(日)

国宝 秋冬山水図のうち冬景
国宝 秋冬山水図のうち冬景
雪舟等楊筆
室町時代・15世紀末~16世紀初

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 画面の下端から見てゆくと、近いものから遠いものへ、モチーフを順にたどってゆくことができます。小さな画面ですが、ここには広大で奥深い空間があらわされているのです。そこには、雪舟以前の山水画には見られない堅固さ、理知的な構築性が強く感じられます。一方、個々のモチーフは、岩に見られるさっと引かれた短く力強い線、雪山の輪郭を描くひょろひょろした線、カサカサした線、しっとりした線など、さまざまな味わいをもつ線で描き出されています。作者の雪舟は、若い頃に相国寺で修行した禅僧画家で、応仁の乱(1467~77)の前後に活躍しました。日本の水墨山水 画の領域において、堅固な構築的空間を表現しえた稀有な存在です。この作品は「山水長巻(さんすいちょうかん)」(山口・毛利博物館蔵)、「天橋立図(あまのはしだてず)」(京都国立博物館蔵)とともに彼の山水画を代表する名品となっています。
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■ 新春特集陳列 吉祥―歳寒三友を中心に―
東洋館第8室 2008年1月2日(水)~1月27日(日)

瓢箪図
瓢箪図 趙之謙筆 清時代・同治9年(1870) 高島菊次郎氏寄贈
 新しい年を寿(ことほ)ぎ、歳寒三友(さいかんさんゆう、松・竹・梅)を中心に中国の吉祥図を特集します。厳しい寒さの中で、松や竹は常緑を保ち、梅は毎年必ず春の魁として花を開いて清香を放つことから、中国の人々は、松・竹・梅を厳しい環境の中でも節度を守り不変の心をもつものとして歳寒三友と讃えてきました。三友のうち、竹と梅は、離俗と隠逸を象徴する蘭や菊とともに四君子(しくんし)ともいわれました。

また、中国では古くから、松には不老長寿、竹には平安や子孫繁栄、梅には安産と子孫繁栄、そのほか、蓮・水鳥・魚には豊かさ、牡丹には富貴、桃には長寿、葡萄・瓢箪・石榴などには子孫繁栄、鳳凰には天下泰平、蝙蝠には福、鵲には吉兆、水仙には仙人すなわち長寿、竹石には祝寿などの意味をこめられてきました。それらは吉祥図として盛んに描かれ、今日まで広く親しまれてきました。さまざまな願いがこめられた中国の吉祥図の世界をお楽しみください。

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主な出品作品

*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
重要文化財 梅花双雀図 伝馬麟筆 南宋時代・13世紀 山本達郎氏寄贈
鹿鶴図屏風 沈銓筆 清時代・乾隆4年(1739) 山崎達夫氏寄贈
五松図 李ぜん筆 清時代・18世紀
花卉図 趙之謙筆 清時代・同治9年(1870) 高島菊次郎氏寄贈
新春イベント  ※雨天時は場所を変更、または中止になることがあります。
獅子舞
2008年1月2日(水) 10:30~、13:00~ 受付終了
2008年1月3日(木) 10:30~、13:00~ 受付終了
本館前
演者:東都葛西囃子睦会
和太鼓演奏
2008年1月2日(水) 11:00~、13:30~ 受付終了
2008年1月3日(木) 11:00~、13:30~ 受付終了
正門内池前
演者:和太鼓御響(おびき)
江戸の遊芸
2008年1月2日(水) 12:00~、14:30~ 受付終了
正門内池前
演者:昔昔亭笑海
クラリネットコンサート
2008年1月3日(木) 12:00~、15:00~ 受付終了
東洋館エントランス
演奏:アマトゥール
いけばな
2008年1月2日(水)~1月14日(月・祝)
正門、本館エントランス、平成館
蔵重 伸(池坊短期大学教授)
※本館エントランスは2月1日(金)まで、平成館2階は2月11日(月・祝)まで展示。
TNM&TOPPANミュージアムシアター
2008年1月2日(水)、1月3日(木)
特別上映いたします。各日先着60名様に卓上カレンダーを進呈。
新春東博寄席
2008年1月6日(日) 13:30~  受付終了
平成館大講堂
出演:金原亭馬生、金原亭馬治、金原亭馬吉
料金:2,000円(往復はがきによる事前申込制。当日、平常展もご観覧いただけます。)
獅子舞 獅子舞
和太鼓演奏 和太鼓演奏
上野・寛永寺との連携事業
寛永寺根本中堂特別参拝
2008年1月2日(水)、3日(木) 10:00~15:00
根本中堂、徳川歴代の将軍の肖像画(油画)、天下三銘石之一「黒髪山」を公開します。
寛永寺根本中堂 寛永寺根本中堂
ミュージアムショップからお年玉プレゼント
2008年1月2日(水)、3日(木)
ミュージアムショップで2,500円以上お買い上げの方に抽選で2008年カレンダーなどをプレゼント。
2008年1月2日(水)~14日(月・祝)
美術書バーゲンセールも実施。
レストランからお年玉プレゼント
レストラン・ラコール  2008年1月2日(水)、3日(木)
お一人様1,500円以上ご利用の方に抽選でプレゼント。
〔A賞〕精養軒オリジナルお菓子 ガトー・セレクション
〔B賞〕精養軒オリジナルワイン ハーフボトル(白)1本
ホテルオークラ・ガーデンテラス  2008年1月2日(水)、3日(木)
レストランご利用のお客様に、甘酒をサービス。
1月から開催の特別展
陽明文庫創立70周年記念特別展「宮廷のみやび―近衞家1000年の名宝」
平成館 特別展示室 2008年1月2日(水)~2月24日(日)
※特別展「宮廷のみやび―近衞家1000年の名宝」は別途観覧券が必要です
藤原道長自筆の日記である「御堂関白記」(国宝)をはじめとした陽明文庫の所蔵品や江戸中期の当主で当時の宮廷文化の第一人者である家熙の作品など、みやびな公家文化の世界をぜひご堪能ください。