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創刊記念『國華』120周年・朝日新聞130周年 特別展「対決-巨匠たちの日本美術」

  • 『(左)国宝 檜図屏風(部分) 狩野永徳筆 安土桃山時代・16世紀(右)国宝 松林図屏風(部分) 長谷川等伯筆 安土桃山時代・16世紀』の画像

    (左)国宝 檜図屏風(部分) 狩野永徳筆 安土桃山時代・16世紀
    (右)国宝 松林図屏風(部分) 長谷川等伯筆 安土桃山時代・16世紀

    平成館 特別展示室
    2008年7月8日(火) ~ 2008年8月17日(日)

     運慶と快慶、狩野永徳と長谷川等伯など巨匠たち12組を「対決」させるという斬新な視点から、中世から近代までの日本美術史を見渡します。各組の関係は師弟・ライバル・私淑などさまざまですが、作品を対照することによって巨匠たちの影響関係や競い合いの様子を感じ取っていただきたいと思います。

展示作品一覧へ
2008年7月25日(金) 入場者が10万人に達しました。
2008年8月7日(木) 入場者が20万人に達しました。

開催概要
会  期 2008年7月8日(火)~8月17日(日)
会  場 東京国立博物館 平成館 (上野公園)
開館時間 9:30~17:00 (入館は閉館の30分前まで)
(ただし土・日・祝日は18:00まで、毎週金曜日は20:00まで開館)

※時間帯毎の会場状況についてはこちら
休館日 月曜日(ただし7月21日(月・祝)は開館、翌22日(火)休館。8月11日(月)は開館)
観覧料金 一般1500円(1300円/1200円)、大学生1200円(1000円/800円)、高校生900円(700円/500円)
中学生以下無料
( )内は前売り/20名以上の団体料金
障害者とその介護者一名は無料です。入館の際に障害者手帳などをご提示ください。
前売券はチケットぴあ(Pコード=前売り:688-110、当日:688-111)、ローソンチケット(Lコード=33304)、イープラス、CNプレイガイド、サークルK、サンクス、JTB、セブンイレブンほか主要プレイガイドおよび東京国立博物館 正門観覧券売場(開館日のみ)にて、2008年7月7日(月)まで販売。
お得な前売りペアチケット(一般2600円)はローソンチケット(Lコード=33303)にて2008年7月7日(月)まで販売、当日ペアチケット(一般2800円)は会期中チケットぴあ(Pコード=688-130)にて販売。ペアチケットについて詳細はこちら
特別展「フランスが夢見た日本-陶器に写した北斎、広重」(2008年7月1日(火)~8月3日(日))は別途観覧料が必要です。両特別展の同時開催期間中(2008年7月8日(火)~8月3日(日))、東京国立博物館正門 観覧券売場にて両特別展の当日券を1枚ずつ同時購入の場合、観覧料金の合計金額から100円の割引になります。また、片方の特別展の観覧券の半券をもう一方の特別展の会場入口にお持ちいただくと、半券1枚につき1回のみ、1人1枚の購入に限り、100円割引で当日券を購入できます(他の割引サービスとの併用はできません)
「東京・ミュージアムぐるっとパス2008」で、当日券一般1500円を1400円(100円割引)でお求めいただけます。正門観覧券売場(窓口)にてお申し出ください。
東京国立博物館キャンパスメンバーズ会員の学生の方は、当日券を1000円(200円割引)でお求めいただけます。正門観覧券売場(窓口)にて、キャンパスメンバーズ会員の学生であることをお申し出いただき、学生証をご提示下さい。
特別展「対決-巨匠たちの日本美術」 会期終了後の2008年8月19日(火)~9月7日(日)まで、本特別展半券を当館正門 観覧券売場にてご提示いただければ、当館平常展を半額の割引料金でご覧いただけます。
交  通 JR上野駅公園口・鶯谷駅南口より徒歩10分
東京メトロ銀座線・日比谷線 上野駅、千代田線 根津駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分
主  催 東京国立博物館、國華社、朝日新聞社
後援 文化庁
特別協賛 DIAMアセットマネジメント
協賛 三井物産、トヨタ自動車、大日本印刷
協力 東京美術倶楽部、日本航空
カタログ・音声ガイド 展覧会カタログ(2300円)は、平成館2階会場内、および本館地下ミュージアムショップにて販売しています。音声ガイド(日本語のみ)は500円でご利用いただけます。
お問い合わせ 03-5777-8600 (ハローダイヤル)
展覧会サイト http://www.asahi.com/kokka/
展覧会公式サイトは会期終了時をもって終了いたしました。
関連事業
記念座談会「放談 巨匠対決」
  平成館 大講堂 2008年7月19日(土) 13:30~15:00(開場13:00) 受付終了
出演:『國華』主幹、尚美学園大学教授、秋田県立近代美術館館長 河野 元昭 氏
        『國華』名誉顧問、武蔵野美術大学名誉教授 水尾 比呂志 氏
        『國華』編集委員、学習院大学教授、千葉市美術館館長 小林 忠 氏
        東京国立博物館 上席研究員 松原 茂
記念講演会「美と個性の対決」
平成館 大講堂 2008年8月2日(土) 13:30~15:00(開場13:00) 受付終了
講師:『國華』名誉主幹、美術史家、MIHO MUSEUM館長 辻 惟雄 氏
“現代の絵師”山口晃氏によるギャラリートーク「山口晃が巨匠を斬る」
平成館 2008年7月17日(木) 18:30~19:30(18:00受付開始) 受付終了
講師:山口 晃 氏
展覧会の構成
 同門から出て異なった作風を開拓した鎌倉時代の「運慶vs快慶」に始まり、室町時代の代表的水墨画家雪舟等楊と彼に私淑した雪村周継、安土桃山時代に天下人の御用を争った狩野永徳と長谷川等伯など、中世から近代までの日本美術史に名を刻む巨匠たちを、2人づつ下記12組とし、名品を対決させる形で紹介いたします。

その関係は、同時代に競い合った文字通りの「対決」だけでなく、弟子と師匠の関係、一方が一方に私淑する関係など様々ですが、広い意味でライバル意識があったととらえ、「対決」としています。互いの作品を比較して見ることで、巨匠たちの優れた個性にふれていただければと思います。
十二組の巨匠
主な作品
雪舟vs雪村
慧可断臂図(国宝)
 
呂洞賓図(重要文化財)
 
国宝 慧可断臂図 (えかだんぴず)
雪舟等楊筆 1幅 室町時代・明応5年(1496)
愛知・齊年寺蔵
 
重要文化財 呂洞賓図 (りょどうひんず)
雪村周継筆 1幅 室町時代・16世紀
奈良・大和文華館蔵
[展示期間:2008年7月8日(火)~7月27日(日)]
 
岩に向かって坐る達磨。弟子になるため、切断した腕を持って近づく慧可。本図には禅宗の師資相承の瞬間が描かれています。ゴツゴツした硬い岩と対照的な、達磨のふっくらとした身体を包む柔らかい布の質感。雪舟の破格の技が表れた大作です。
 
雪村の絵には、人物画でも山水画でも花鳥画でも、不思議なうねりや動きが感じられます。雪村の絵の面白さは、そうした運動感覚にあります。本図でも、風にはためく衣や髭、足元の波を描く独特の線にそれがよく表れています。
永徳vs等伯
檜図屏風(国宝)
 
松林図屏風(国宝)右隻
 
国宝 檜図屏風 (ひのきずびょうぶ)
狩野永徳筆 8曲1双 安土桃山時代・16世紀
東京国立博物館蔵
 
国宝 松林図屏風(右隻) (しょうりんずびょうぶ)
長谷川等伯筆 6曲1双 安土桃山時代・16世紀
東京国立博物館蔵
[展示期間:2008年7月8日(火)~7月27日(日)]
 
天下人の絵師、永徳の描く絵は「恠恠奇奇(かいかいきき)」とも評されました。黄金を背景に赤茶けた太い幹から大枝を力の限り振りかざす檜の大樹には、天下人の心性が映し出されているのか、見る者に動悸やめまいさえ呼び起こしそうです。
 
太閤秀吉がとりたてた絵師等伯の奇跡的作品。朝の冷気の中にひっそりと松が浮かび上がり、屏風の前に立つ人をいつしか風景の一部としてしまいます。この「静かなる絵」は濃淡の松の形象によって、日本独自の価値観である幽玄を描き出しています。
長次郎vs光悦
黒楽茶碗 銘俊寛
 
黒楽茶碗 銘時雨
 
重要文化財 黒楽茶碗 銘俊寛 (くろらくちゃわん めいしゅんかん)
長次郎作 1口 安土桃山時代・16世紀
東京・三井記念美術館蔵
 
重要文化財 黒楽茶碗 銘時雨 (くろらくちゃわん めいしぐれ)
本阿弥光悦作 1口 江戸時代・17世紀
愛知・名古屋市博物館蔵
 
千利休(1522~91)は自らが求める理想の茶のために、陶工長次郎を指導して茶碗を焼かせました。手づくねで成形され掌にすっぽりと収まる自然な起伏をもった造形、艶のない落ち着いた釉調に特徴があります。
 
本阿弥光悦は書、陶芸、漆芸など多方面に才能を発揮しました。時雨の銘をもつこの茶碗は、胴に窯割れが生じ、釉薬はきわめて薄く土肌があらわれているなど、個性的で奔放な作為が盛り込まれています。
応挙vs芦雪
猛虎図屏風
 
虎図襖
 
猛虎図屏風(左隻) (もうこずびょうぶ)
円山応挙筆 6曲1双 江戸時代・18世紀
個人蔵
 
重要文化財 虎図襖 (とらずふすま)
長沢芦雪筆 6面のうち4面 江戸時代・天明6年(1786)
和歌山 無量寺・串本応挙芦雪館蔵
 
日本の絵画を革新した応挙は、虎や豹(虎の雌として描かれていました)のさまざまな形と、丹念な毛描によって猛々しさを表現しています。観ている側が虎の迫力に気圧されるようです。
 
日本で最大の虎の絵(虎は3mを超える)といわれます。顔より大きな前足や、長すぎる尾が、今にも襖から飛び出してくるような躍動感を生み出しています。猫を思わせる顔の虎の襖絵の裏には、魚を狙い前足を伸ばす猫が描かれています。
『國華』とは

 『國華』は、明治22年(1889)10月に岡倉天心、高橋健三らによって創刊されました。現在も刊行されている美術研究誌としては世界最古の歴史を誇り、その名は広く海外にも知られています。
『國華』という名称は、岡倉天心による創刊の辞「美術ハ國ノ精華ナリ」から採られたものです。それに従い、『國華』は日本と東洋の優れた美術について第一線の研究者による質の高い論文を掲載し、また埋もれていた名品を数多く紹介してきました。2008年4月には、1350号が発行されています。
東京国立博物館では、昭和52年(1977)に発刊1000号記念の特別展「日本の山水画展」、さらに平成元年(1989)に創刊100周年記念の特別展「室町時代の屏風絵」を開催し、それぞれ多くの方々の好評を得ました。
國華創刊号表紙
『國華』創刊号 表紙