このページの本文へ移動

彫刻

「大日如来坐像」(東京・真如苑蔵)公開
2008年6月10日(火)~2008年7月6日(日) 本館11室
2008年7月10日(木)~2008年9月21日(日) 本館12室

大日如来坐像
大日如来坐像 平安~鎌倉時代・12世紀 東京・真如苑蔵

2008年3月に、日本彫刻史を研究するうえで重要な作品と目されていた大日如来坐像(だいにちにょらいざぞう)が、海外のオークションに出品されました。重要な美術作品が海外に流出するおそれがあるとして大きな話題となったなか、日本の宗教法人である真如苑(しんにょえん)がこの仏像を落札したことは、皆様のご記憶に新しいのではないでしょうか。
このたび東京国立博物館は、真如苑からのお申し出を受け、今後数年間、大日如来坐像をお預かりし、展示と研究を行なっていくことといたしました。2008年度は以下の日程で展示を予定しています。

2008年6月10日(火)~2008年7月6日(日) 本館11室
2008年7月10日(木)~2008年9月21日(日) 本館12室 特集陳列「二体の大日如来像と運慶様の彫刻」
※2008年7月7日(月)~9日(水)は展示替のため、本館11・12室は閉室

■ 大日如来坐像について
胸の前で智拳印を結ぶこの像は密教の中心尊像である金剛界大日如来像です。厚みがある堂々とした上半身、頬や顎の肉付きのよい面貌、また、髻や衣の表現などが運慶の作品と共通します。運慶(?~1223)は、鎌倉時代の彫刻様式の根幹を築いた、日本彫刻史上最も重要な作家です。
栃木県足利市の光得寺には、同市の樺崎(かばさき)町にあった樺崎寺に伝来した大日如来像がありますが、やはり運慶の作風が顕著なもので、建久年間(1190~99)末頃の運慶作品と考えられています。光得寺像とこの像は、作風だけではなく細部の技法やX線写真によって確認される像内納入品にもいちじるしい共通性がみられますが、眉や両眼の表現、顎の形などから、この像の方が先行すると考えられます。同市の古刹鑁阿寺(ばんなじ)の文書には、光得寺像にあたる像とともに、樺崎寺下御堂(しものみどう)に建久4年(1193)の願文がある厨子に納められた三尺大日如来像があったことが記されています。北関東に伝わったといわれるこの像は、それにあたる可能性があります。