東洋館 第8室
2007年1月30日(火) ~ 2007年3月4日(日)
冬の厳しい寒さの中、梅は百花に先駆(さきが)けて開花し清香を放つことから、中国では、松、竹ともに「歳寒三友(さいかんさんゆう)」と称えられ、また、蘭、菊、竹とともに「四君子(しくんし)」と称えられました。古くから詩文に詠(うた)われ、また、文人の好む画題として親しまれましたが、特に宋時代になると、宮廷画院を中心とする洗練された精細な着色画のみならず、禅僧の花光仲仁(かこうちゅうじん)が創始したという墨梅も盛んになりました。花光仲仁は月夜に窓に映る梅影をみて墨梅をはじめたといわれますが、その後、梅の蕾から落花までの姿を百図にあらわし五言絶句の詩を付した宋伯仁(そうはくじん)『梅花喜神譜(ばいかきしんふ)』(南宋・1238年自序)のような梅譜も編纂されるようになり、元時代以降、墨梅は文人を中心にいよいよ盛んになり、また、梅花は美人の譬(たと)えにも用いられるなど、今日に至るまで様々な姿に描かれてきました。
この特集陳列では、元時代の呉太素(ごたいそ)、明時代の陳録(ちんろく)、劉世儒(りゅうせいじゅ)などの墨梅家の作品、清時代の順治帝(じゅんちてい)、揚州八怪(ようしゅうはっかい)の一人として著名な金農(きんのう)の作品など、元時代から近代に至るまでの着色、水墨の様々な作品を展示します。中国の画梅の多様な世界をご覧ください。