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墨跡―流れ圜悟を中心に―

  • 『国宝 法語(流れ圜悟) 圜悟克勤筆 北宋時代・宣和6年(1124) 松平直亮氏寄贈 』の画像

    国宝 法語(流れ圜悟) 圜悟克勤筆 北宋時代・宣和6年(1124) 松平直亮氏寄贈

    東洋館 第8室
    2007年10月30日(火) ~ 2007年12月27日(木)

     墨跡とは筆で書かれた書跡一般を指しますが、狭義には、宋元時代の禅宗僧侶の書跡と、鎌倉時代から江戸時代 にかけての禅宗僧侶の書跡を指します。千利休により大成されたわび茶の世界では、茶室の床飾りに墨跡を第一と位置づけ、書としての巧拙を超えて、筆者の人 間性をも含めて鑑賞してきました。厳しい修道を克服した高僧の書には、文人の書にはない一種独特の妙味があり、そこに筆者の人となりや禅機のあふれるさまを感じてきたのです。

      北宋時代の禅僧、圜悟克勤(えんごこくごん)(1063~1135)の法語は、現存する墨跡の中で最古の作例で、圜悟克勤の地位の高さと相まって、古く から墨跡の第一とされてきました。かつて桐の古筒に入れられて九州薩摩の坊津(ぼうのつ)海岸に流れ着いたという伝承から、「流れ圜悟(えんご)」と呼ば れています。圜悟克勤が弟子の虎丘紹隆(くきゅうじょうりゅう)に書き与え、その後伊達政宗(だてまさむね)の所望によって春屋宗園(しゅんおくそうおん)と古田織部(ふるたおりべ)が相談のうえ前後二つに切断した文章の前半部分にあたります。幸い、古嶽宗亘(くがくそうこう)、雲英宗偉(うんえいそうい)らの記録から全文が知られ、宣和6年(1124)12月に書かれたものであることが分かります。

      この特集陳列では、桐の古筒や伊達政宗の書状など「流れ圜悟」と共に伝えられた付属品すべてを展示します。また、大慧宗杲(だいえそうこう)、無準師範(ぶしゅんしばん)、虚堂智愚(きどうちぐ)、了庵清欲(りょうあんせいよく)、馮子振(ふうししん)らの墨跡をあわせてご覧いただきます。

主な出品作品

*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
国宝 法語(流れ圜悟) 圜悟克勤筆 北宋時代・宣和6年(1124) 松平直亮氏寄贈
国宝 無相居士あて尺牘 大慧宗杲筆 南宋時代・12世紀 松平直亮氏寄贈
国宝 聖一国師あて尺牘(板渡しの墨跡) 無準師範筆 南宋時代・淳祐2年(1242) 松平直亮氏寄贈
国宝 法語(破れ虚堂) 虚堂智愚筆 南宋時代・13世紀 松平直亮氏寄贈
国宝 法語 了庵清欲筆 元時代・14世紀 松平直亮氏寄贈
国宝 与無隠元晦法語 馮子振筆 元時代・14世紀 松平直亮氏寄贈