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鏡のうらおもて

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    平成館 企画展示室
    2005年11月8日(火) ~ 2005年12月18日(日)

     中国や日本でつくられた銅鏡のミステリアスな世界にせまります。

      「鏡は何でできていますか?」と質問すると、ほとんどの人はガラスと答えることでしょう。しかしガラス製の鏡が普及するのは近代になってからで、それ以前は鋳銅製の板を磨いて姿を映すようにした銅製の鏡が一般でした。銅鏡の背面にはさまざまな文様も表されています。こうした銅鏡も現在の鏡と同じく化粧道具の一つでしたが、そこに神秘的な力を感じた古代の人びとにとっては「権力のシンボル」や「祈りの鏡」としての役割ももっていました。また江戸時代には、ある角度で鏡の表面に光を当てると裏側の文様が浮かび上がる「魔鏡」と呼ばれるマジックミラーがつくられました。会場では、実際に魔鏡に光をあてて裏側の文様も見ることができます。

      今回の「親と子のギャラリー」では、鏡の世界に入り込んで、うらもおもても、じっくり旅してみましょう。よく知っているはずの鏡が、今日からちょっとちがったものに見えてくるかもしれません。

     

    1. 鏡との出会い
      日本に銅鏡が伝えられたのは、弥生時代の中ごろと考えられています。自分の姿をはじめて鏡の中に見た当時の人びとは、そこに神秘的な力を感じたのではないでしょうか。その頃朝鮮半島や中国から海を渡ってきた鏡は、人々の思う世界の成り立ちや、宇宙のイメージをそのデザインに秘めていました。鏡はまた、それを持つことで力をアピールできる存在でした。そのような力のある人が亡くなった時には、いっしょにお墓に埋められたりもしました。
    三角縁神獣鏡
    三角縁神獣鏡 神奈川県平塚市
    真土大塚山古墳出土 中国製

    2.祈りの鏡

     かつては力のシンボルであったり、宇宙のイメージをあらわしていたと考えられる日本の鏡は、仏教が伝えられるとその意味を変えていきました。鏡は、そこに姿を映すものであると同時に人々が祈りを込めるものとなったのです。お寺や神社で、土の中に埋められたり、水の中に沈められたりしました。また鏡は祈りをささげる神様そのものとなったり、仏像をかざったり、仏像の体の中におさめられたりもしました。こうした鏡はそこに姿をうつした人びとが、自分たちの祈りの気持ちを込めてささげたものなのかもしれません。

    3. 装いの鏡

     装い、つまりおしゃれに気をくばることはいつの時代でも多くの人びとにとってとても興味のあることではないでしょうか。平安時代には、鏡は化粧道具の一つとして使われるようになりました。当時鏡はまだまだ高価で、貴族など身分の高い一部の人びとしか使うことができませんでした。しかし、江戸時代になってまるい鏡に柄をつけた柄鏡が主流にとなると、鏡は化粧道具として庶民にも広く行きわたり、人びとはこぞっておしゃれを楽しむようになっていきました。

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「むかしの鏡」
   むかしは、鏡といえば銅の鏡がふつうに使われていました。銅鏡はどのように映って見えるのでしょうか。ここでは、実際に磨かれた銅鏡に自分の姿を映してみることができます。むかしの鏡をのぞきこんでみてください。
「なぞの鏡」
 
魔鏡
魔鏡
 なぞの鏡 魔鏡は、表面は何もないツルツルした面に見えますが、鏡に光をあてると何かが浮かび上がってきます。実際に魔鏡に光をあて、壁面に映し出してみましょう。 魔鏡の使い方
光をあてて、確かめてみよう
「わたしの鏡」
 
 銅鏡のうらの文様には、それをつくったり使ったりした人びとが大切にしていたものや、彼らの頭の中の世界がつまっています。円形の台紙に、好きな文様のスタンプを選んで押して、自分だけの「鏡の世界」をつくってみよう。