2005年10月4日(火) ~ 2005年11月27日(日)
弥生時代は本格的な水稲栽培(すいとうさいばい)が達成された時代です。本州から九州までの各地で、稲作を行ったと考えられる水田跡が多数確認されています。ただし当時の日本列島は、地域ごとに独自の文化も発展していました。たとえば日常使用される土器は、北部九州、北四国、近畿、山陰、東海、関東などそれぞれに地域性をもっていました。しかし、それらの地域は決して閉鎖的なものではなく、相互に文化的交流がなされていました。まとまりをもって分布しているものと同様の特徴をもった土器が、複数のことなる地域から出土することもあります。
日本列島の西に位置する四国地域も、独自性と共通性をあわせ持っています。青銅器をみると、中期の北四国(きたしこく)産と考えられている平形銅剣がひろく瀬戸内地域に分布しています。愛媛県阿方遺跡の弥生土器は、前期の阿方式土器の標識遺跡である阿方貝塚の隣接地から出土したものです。口頸部の内外面に貼付突帯と沈線で飾りをつけた、極めて地域色の強いものです。香川県空港跡地遺跡出土の広口壺は、古墳時代へとつながる特徴的な器形をもっており、香川県周辺のほか瀬戸内地域にも点在します。
この特集陳列では、平成17年度考古資料相互貸借事業による香川県歴史博物館、愛媛県教育委員会からの借用資料を中心にし、当館の四国地域の青銅器をあわせて展示し、四国の弥生文化の一端を紹介します。