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室町時代の漆芸

  • 『重要文化財 男山蒔絵硯箱 室町時代・15世紀』の画像

    重要文化財 男山蒔絵硯箱 室町時代・15世紀

    本館 13室
    2006年3月14日(火) ~ 2006年6月18日(日)

     室町時代には、蒔絵(まきえ)技術は前代より精巧なものとなって、ほぼすべての付加技法が出揃い、いくつもの技法を組み合わせた、複雑な表現が見られるようになりました。また、当時の連歌(れんが)の流行を受けて、有名な和歌をあらわしたデザインの蒔絵作品が数多く伝わっています。

      さらにこの時代、幕府主導の下に対明(みん)貿易が組織的に行なわれるようになり、中国など海外の文物の流入に拍車がかかります。当時中国や朝鮮等からもたらされた美術工芸品は「唐物(からもの)」と呼ばれて尊重されました。将軍家をはじめ有力武家の間では、生活空間をおびただしい量の唐物で飾ることが流行します。このような唐物重視の文化は、各方面にさまざまな影響を及ぼしました。漆芸の分野でも、堆黒(ついこく)や堆朱(ついしゅ)など中国の彫漆(ちょうしつ)の影響を受けて鎌倉彫(かまくらぼり)が生まれ、鎗金(そうきん)を写して沈金(ちんきん)の技法が発達するなど、中国漆器をまねることから新たな技術が発展したのです。これらは当初は模倣からはじまった技法ですが、年代が降るにつれて技術・文様ともに和様化が進み、独特の素朴な趣を呈する 作例が多く見られるようになります。

主な出品作品

*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
重要文化財 男山蒔絵硯箱 室町時代・15世紀
重要文化財 椿彫木漆塗笈 室町時代・16世紀 福島・示現寺蔵
松巴螺鈿鞍 室町時代・15世紀