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みどりのライオン体験コーナー 「押出仏(おしだしぶつ)ができるまで」

  • 『重要文化財 阿弥陀三尊および僧形像 飛鳥時代 7世紀』の画像

    重要文化財 阿弥陀三尊および僧形像 飛鳥時代 7世紀

    本館 19室
    2018年8月7日(火) ~ 2019年9月16日(月・祝)

    「押出仏(おしだしぶつ)」とは、型にのせた銅板をたたいて形を映し出した、とても薄い仏さまの像です。一つの型から同じものをいくつも作ることができます。日本では7世紀後半から8世紀にかけて流行し、お堂の壁や厨子におさめられました。

    この「押出仏」の技法を、当館所蔵の重要文化財「阿弥陀三尊および僧形像」を例にご紹介します。

    実際の技法には不明な点もありますが、可能な限り当時の製作技法にもとづいて再現しました。6工程に分けて作った原寸大の工程見本で、「押出仏」の素材と、どのような作業を経て制作されたと考えられているか、興味をもっていただければ幸いです。

    ※原品の重要文化財 阿弥陀三尊および僧形像は、法隆寺宝物館第2室で展示中。

    制作:平成19年度東京藝術大学学生ボランティア 佐々木あすか、志田理子、瀬田愛子(敬称略)

 

工程1 準備~仏像の蝋型を作る

蜜蝋で土台を作り、その上に仏像や台座などの形を細かく形作ります。

 

工程2 準備~鋳造原型

蝋型原型を土で覆って熱し、中の蝋を溶かします。そこに銅を流して冷やすと、蝋型と同じ原型が銅でできます。

 

工程3 材料~銅板づくり

「湯床吹き」という江戸時代までに使われた技法で銅の塊を作ります。
それを、柔らかいうちに金づちでたたき、固くなったら熱して柔らかくする工程を繰り返し、適当な薄さ(今回は0.4mm)になるまで延ばします。

 

工程4 打ち出し その1

銅板を仏像の型の上に乗せ、木づちで打ち出します。銅板を熱して柔らかくし、木と竹のたがねを使い、打ち出しを繰り返して輪郭をはっきりさせます。銅板が薄くなりすぎて破れないように注意します。

 

工程5 打ち出し その2

次に衣のひだや光背・台座の文様など、細かな部分を、さらに小さな竹のたがねや鹿の角で打ち出します。蓮の花びらなど盛り上がったところは、しわが寄らないように注意します。

 

工程6 完成~端切り、鍍金、彩色

金のたがねを用いて、輪郭に沿って端を切り落とします。次に、鍍金(金メッキ)をほどこし、岩絵の具で髪や口、墨で瞼や瞳、眉、ひげを塗ります。
完成した「押出仏」の薄さや細かな模様も、ぜひご注目ください。

 

チラシ

押出仏ができるまで
押出仏(おしだしぶつ)ができるまで

会期中、本館19室みどりのライオン体験コーナーにて配布しています。
※なくなり次第、配布は終了します。

PDFPDF, 1.4MB)