本館 14室
2018年4月24日(火) ~ 2018年6月24日(日)
茶の湯のために日本国内で焼かれた茶碗、和物茶碗を特集します。喫茶の風とともに中国からもたらされた精美な唐物(からもの)茶碗や、室町時代後期に美意識の変化に伴って茶の湯の茶碗として見立てられるようになった朝鮮半島産の高麗(こうらい)茶碗に対して、和物茶碗は唐物茶碗の写しから始まり、安土桃山時代に大成された侘茶(わびちゃ)のために、価値観の変動に応えた茶碗が創作されるようになり、大きな飛躍を遂げます。その後江戸時代になると多様な展開を示しました。
千利休(1522~1591)の創意を受けて長次郎(ちょうじろう、?~1589)によって始められ、一子相伝(いっしそうでん)という特異な形で現代まで430年余続く樂。安土桃山時代から江戸時代初頭にかけてのわずか30年ほどの間に創造の炎が燃えさかり、志野(しの)や織部(おりべ)など自由な気風に富んだ茶碗を送り出した美濃。安土桃山時代に朝鮮半島から渡来した技術によって、北部九州で産声(うぶごえ)を上げた唐津や高取。そして華麗な絵付けで都の雅を造形化した仁清(にんせい)をはじめとする京焼など、茶の湯を彩った、個性豊かな和物茶碗の世界をお楽しみください。