本館 14室
2018年2月27日(火) ~ 2018年3月18日(日)
3月3日は桃の節句(せっく)。華やかで楽しいおひなさまの季節です。その歴史は、罪や穢(けが)れを託して水に流した古代のヒトガタや、平安貴族の子どもたちが行った「ひいな遊び」に遡ります。祈りを託し、時に一緒に遊ぶという人形のあり方は江戸時代に引き継がれ、女の子のためにおひなさまを飾る風習が全国的に定着しました。
毎年この時期にあわせて人形の展示を行っていますが、今年は江戸を中心として、関東地方で作られたおひなさまに焦点をあてます。江戸の豪農であった日比谷家伝来の古今雛(こきんびな)や、三谷(みたに)家伝来の牙首雛(げくびびな)といった富裕層の雛人形とともに、庶民の雛人形として親しまれた越ヶ谷雛(こしがやびな)や鴻巣雛(こうのすびな)も併せて展示し、関東における雛文化を概観したいと思います。
また日本の人形の一例として、関西で製作された木彫人形である嵯峨(さが)人形や賀茂(かも)人形も展示します。木彫人形は体全体を木で彫り表したもので、彫刻的な造形の美しさや彩色の華麗さが見どころです。
日本では諸外国に例がないほど多彩な人形文化が発達し、芸術的にも完成度の高い人形が広く享受されてきました。おひなさまと日本の人形から、繊細で美しく、そして可愛らしいものを尊ぶ日本の美意識を感じて頂ければ幸いです。