本館 14室
2016年9月27日(火) ~ 2016年12月18日(日)
明治9年(1876)の冬、ひとりのイギリス人が来日しました。その名はクリストファー・ドレッサー(Christopher Dresser 1834–1904)、欧米における「ジャポニスム」を牽引した著名なデザイナーです。
このとき彼は、サウスケンジントン博物館(現在のヴィクトリア・アンド・アルバート博物館の前身)が日本のために収集したヨーロッパの美術工芸品を携えていました。それは、明治6年(1873)のウィーン万国博覧会の出品作品やそのとき買い集めた大切な品物を積んで日本へ向かった船ニール号が沈没した、というニュースを聞いたサウスケンジントン博物館長の厚意による贈り物でした。
充実した日本滞在を終えたドレッサーは、その後もイギリスから工芸品を博物館に寄贈しています。さらに、ドレッサーは日本で集めた美術品をデザイナー、そしてガラス工芸作家として知られるルイス・コンフォート・ティファニーへ届けるなど、アメリカにおける日本風デザインの流行にも強い影響を与えたといわれています。
今回の展示では、ドレッサーによってもたらされた作品を中心に、明治時代前半期に博物館が受入れた欧米のやきものとガラスの器を紹介いたします。140年もの昔に想いを馳せながら、いまなお私たちの眼を楽しませてくれる貴重な作品をどうぞお楽しみください。