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経塚出土の瓦経

  • 『重要文化財 瓦経 三重県伊勢市浦口町旦過 小町塚経塚出土 平安時代・承安4年(1174)』の画像

    重要文化財 瓦経 三重県伊勢市浦口町旦過 小町塚経塚出土 平安時代・承安4年(1174)

    平成館 考古展示室
    2016年3月8日(火) ~ 2016年7月18日(月・祝)

    瓦経(がきょう)は方形や長方形の粘土板に経文を刻んだ後に焼き固めた経典の一種です。11世紀後半から12世紀後半にかけて、西日本の経塚を中心に40箇所以上の経塚から発見されています。

    経塚は末法思想(まっぽうしそう)の影響を受けて、10世紀の終わりごろから経典を保存するためにつくられました(詳細は平成館 考古展示室内の「経塚―56億7000万年のタイムカプセル―」展示をご覧ください)。通常、紙の経典を経筒(きょうづつ)に納め、さらにそれを外容器(がいようき)に入れて、さまざまな副納品とともに地下に埋納しました。しかし紙の経典はその性質上、長い年月の間に朽ちてしまい、発見されたときには原形をとどめていない場合がほとんどです。

    一方、焼き物である瓦経は紙に比べて土の中で残りやすく、一度に何十、何百枚がまとまって発見されることがあります。そのため瓦経は経典をより長く保存するために作られたとも考えられています。また、かたちや刻まれた経文、名前などから、瓦経はその生産技法や生産態勢、携わった人々などの情報が得られるため、考古資料のみならず文字資料としても大変貴重といえます。

    この特集では、当館所蔵品や寄託品の中から代表的な瓦経や関連作品を一堂に展示いたします。末法の世の中に生きた人々の切なる願いを、作品を通じて感じていただければ幸いです。

     

    担当研究員の一言

    土製の題箋や光背、粘土板に刻まれた観音菩薩や不動明王など、瓦経と一緒に出土したさまざまな関連作品もぜひご覧下さい。/井出浩正

 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
重要文化財 瓦経 三重県伊勢市浦口町旦過 小町塚経塚出土 平安時代・承安4年(1174)
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