本館 15室
2015年7月7日(火) ~ 2015年8月30日(日)
日本の医学は、江戸時代中期に蘭学とよばれた西洋医学の導入によって飛躍的に進歩しました。それに対し、古くから日本で行われていたのが「養生(ようじょう)」です。現在、さまざまな養生のあり方が、予防医学の観点から注目されています。
もともと養生とは、不老長寿のための技法や、人間としての生き方を考える思想などを示しています。では、江戸時代に行われていた養生の実際とはどういうものであったのでしょうか。今日のように医学が進歩していなかったころ、人々がまず考えたのは、病気にならないためにはどうすればよいかということでした。家には昔から伝わる薬草を常備し、ドクダミを煎じて飲んだり、足腰を強くするために灸をすえたり、身近なものを利用して病気の予防を心掛けていたのです。
この展示では、日本最古の医学書である『医心方(いしんぽう)』や、東洋医学の基礎となった「つぼ」を示す銅人形、人々が親しんだ養生書のほか、西洋医学の影響をうけた人体解剖模型、シーボルトの携帯用医療器具など、養生と医学との関連を考える上で重要な資料をご覧いただきたいと思います。
担当研究員の一言
ちょっと不気味なものも出ていますが、楽しくご覧いただけたらと存じます。/高橋裕次