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能面 女面の表情

  • 『重要文化財 能面 小面 奈良・金春家伝来 室町時代・15~16世紀』の画像

    重要文化財 能面 小面 奈良・金春家伝来 室町時代・15~16世紀

    本館 14室
    2015年7月7日(火) ~ 2015年10月4日(日)

    能の面は、基本的なものだけで60種類ほどあります。その中でも女面(おんなめん)は、能面と聞くとまず思い出されるほどポピュラーで、種類も豊富です。女面はどれも瓜実顔(うりざねがお)に起伏の少ない顔立ちで同じように見えるかもしれませんが、実は年齢や性格などの違いを、繊細な方法で表現しています。例えば、若い女性を表す面でも「小面(こおもて)」は純粋無垢な美しさ、「増女(ぞうおんな)」は神々しいような気品の高さ、「孫次郎(まごじろう)」は落ち着いたやさしさ、「万媚(まんび)」は愛嬌(あいきょう)のあるつややかさを感じさせます。

    その違いは能舞台で活かされています。実は、どの役にどの面を使うのか、厳密に決められているわけではありません。例えば、『羽衣(はごろも)』の天女の役を演じる時には「小面」「増女」「若女(わかおんな)」のどれかを能楽師自身が選びます。そしてその面の表情にふさわしい表現で演じるため、使う面によって演目中の人物の雰囲気が変わることになります。能面がどんなに重要なものか、お分かりいただけるでしょう。

    今回は能狂言のさまざまな女面と、女性の怨霊を表した面を展示しました。女面の造形に込められた細やかな表現をご覧ください。
     
     

    担当研究員の一言

    無表情な顔を「能面のよう」ということがあります。たしかに、カツラやヒノキといった木からつくられる能面自体が形を変えることはありません。しかし演者の動きによって、表情が違って見えることがあります。また、一見同じような形におもえる女面ですが、年齢に応じてつくり分けられるなど、よくみると微妙な違いがあります。それぞれの面にあらわされたこまやかな違いを、じっくりとご覧いただけましたら幸いです。/淺湫毅


 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
能面 増髪女 室町時代・15~16世紀
重要文化財 能面 小面 奈良・金春家伝来 室町時代・15~16世紀
 

関連展示

   能と歌舞伎 能に見る女性の風姿 本館9室 2015年7月14日(火)~2015年9月6日(日)

関連事業

<ギャラリートーク>   能面入門
本館 14室  2015年9月4日(金)   18:30 ~ 19:00   当日受付
本館 地下 みどりのライオン (教育普及スペース)  2015年9月12日(土)   14:00 ~ 16:30   受付終了
本館 地下 みどりのライオン (教育普及スペース)  2015年9月12日(土)   10:00 ~ 12:30   受付終了

関連リンク

<1089ブログ>   能の裏側体験!