本館 14室
2014年9月2日(火) ~ 2014年11月3日(月・祝)
安土桃山時代、スペインやポルトガルの宣教師や商人達が海を渡り、来日しました。初めて西洋文化に触れた日本人は、彼らを南蛮人(なんばんじん)とよび、さかんにその風俗を受け入れました。ことに衣食関係の風習は熱心に取り入れられ、南蛮ブームともよぶべき盛り上がりをみせます。南蛮船交易の様子を描いた屏風(びょうぶ)や南蛮人の姿を表わした漆器も、大いに流行しました。
一方、彼らヨーロッパ人は日本に来て、漆器という黒く輝きながら、耐水・耐熱性も兼ね備える、今まで見たこともない工芸品を見つけ出します。日本の漆器は彼らによって、遠い東方の国々での布教の証として、また航海技術の発展によって東洋からもたらされる新奇な商品として、西洋に大量に送り込まれることになりました。
その後ヨーロッパの上流階級の間には東洋趣味が広く浸透し、日本の漆器は東洋を象徴する室内装飾調度として、彼らの間で大いに人気を博します。欧州の生活や使われ方、人々の好みに合わせ、日本で伝統的に用いられてきた漆器とは異なる形や装飾の作品が、創り出されました。このように輸出用に制作された漆器類を、輸出漆器と総称しています。ここに展示される輸出漆器の多様な姿は、まさに東西の文化交流の諸相を反映したものといえるでしょう。