法隆寺宝物館 第6室
2014年8月19日(火) ~ 2014年9月15日(月・祝)
東京国立博物館では平成22~25年度に渡って、ガラス挟みの状態で保管されてきた法隆寺裂(ほうりゅうじぎれ、法隆寺に伝来した染織作品)の修理をして参りました。この度は平成24、25年度の修理品から53件を選び、特集陳列を行います。
これらの裂は法隆寺から皇室へ献納された後、明治15年(1882)に当館へ納められた法隆寺献納宝物の一部を別途整理したものと推定されます。なかには聖徳太子が亡くなられたこと(622年)にともなって製作された天寿国繍帳(てんじゅこくしゅうちょう)の断片や、絹に描かれた絵画としては日本最古級と目される淡茶地白虎文描絵綾天蓋垂飾(うすちゃじびゃっこもんかきえあやてんがいすいしょく)など、献納宝物本体にも見られない貴重な作品も多く含まれ、今後多方面からの研究が期待されます。
修理ではガラス挟みを解体して作品を取り出し、歪んだ糸目(いとめ)を正しく揃え、和紙で裏打ちして安定化させる方法がとられました。一部の作品については保存・研究上の理由から、和紙やポリエステル綿等のクッション材を用いた修理が施されています。これにより、やや青味をおびたガラス板自体の色や裂に付着した汚れによって隠されていた色彩が鮮烈に甦り、作品本来の魅力、飛鳥・奈良染織の美しさを目の当たりにすることができるようになりました。
これまで保存上の理由から公開されることのなかった法隆寺裂の数々を一堂に会した貴重な機会をお楽しみください。