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運慶・快慶周辺とその後の彫刻

  • 『重要文化財 大日如来坐像 平安~鎌倉時代・12世紀 東京・真如苑蔵』の画像

    重要文化財 大日如来坐像 平安~鎌倉時代・12世紀 東京・真如苑蔵

    本館 14室
    2013年8月27日(火) ~ 2013年11月17日(日)

    今回は大日如来坐像を3体展示しました。そのうち小さい2体は、作風、構造、像内納入品の種類と納入方法等に共通するところが多く、ともに鎌倉時代初頭の仏師運慶の作と推測されています。一方、等身大の像は快慶の作です。頭の上に結った髻(もとどり)の形、体の肉付き、脚部の衣の襞(ひだ)などに注目して比べてみてください。

    つぎに運慶風の阿弥陀如来坐像と快慶風の阿弥陀如来立像はどうでしょう。運慶風は重厚で立体感に富み、快慶風はすっきりして絵画的な美しさが特色です。しかし写実的という点では共通する部分があります。二人は同じ時代に生きましたが、運慶は鎌倉幕府の重鎮である武士の注文を受け、快慶は自らも信仰した浄土教関係の造像が多いというように活躍の場に差がありました。性格、信仰などももちろん違っていたでしょう。それが作風に表れていると考えられます。

    運慶と快慶の次世代そしてその次を担った仏師はどのような像を造ったでしょうか。先輩の作風を継承しながら、個性を発揮するのに苦労したでしょう。運慶、快慶に比べると彫刻的な魅力は減退し、彩色や装身具に工夫を凝らして工芸的な方向に進んで行きます。

     

    担当研究員の一言

    何度も見た像でも別の像と比べてみるとまた新たな発見があるはずです。運慶と快慶の個性を実感してください。/浅見龍介

 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
重要文化財 大日如来坐像 平安~鎌倉時代・12世紀 東京・真如苑蔵
重要文化財 大日如来坐像 平安~鎌倉時代・12世紀 栃木・光得寺蔵
重要文化財 行道面 菩薩 快慶作 鎌倉時代・建仁元年(1201) 兵庫・浄土寺蔵