本館 特別1室
2013年2月5日(火) ~ 2013年3月31日(日)
紀元3世紀から13世紀にかけて、エジプトのキリスト教者、コプト教徒は、地中海文化の影響を受けた綴織(つづれおり)による古拙な織文様で衣服を飾りました。19世紀には伝存するコプト裂がヨーロッパのコレクターの間で人気を博し「コプティック」という言葉が綴織の代名詞ともなりました。今回は、これまで展示する機会のなかった当館所蔵のコプト裂の中から32点を展覧いたします。
綴織は、織の組織としてはもっとも単純な平織(ひらおり)ですが、さまざまな色糸を緯糸(ぬきいと)(横糸)にして色糸を細かく入れ替えることによって、1枚の面に人物や植物、動物といった具象的な文様をさまざまな大きさで表わすことができます。コプト教徒たちは、自分たちにとって身近なモティーフを綴織に表わし、衣服の装飾や部屋の壁飾りなどにしました。キリスト教にかかわりの深い聖者や天使、さまざまな動物文様は何とも愛らしい表現です。
今回は、本来の衣服の形をしたコプト染織を所蔵される東京・女子美術大学美術館からお借りして七点の作品を特別に展示することとしました。コプト教徒ならではのキリスト教観や生活スタイルから生まれた、ユニークな文様世界をお楽しみください。