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狂言面 中世の笑い

  • 『狂言面 うそぶき 室町~安土桃山時代・16世紀』の画像

    狂言面 うそぶき 室町~安土桃山時代・16世紀

    本館 14室
    2012年12月11日(火) ~ 2013年1月27日(日)

    狂言は観客の笑いを誘う劇。庶民の生活や巷(ちまた)に広まっていた物語を題材に、面白おかしいせりふを中心に展開します。ことばの洒落(しゃれ)だけでなく、滑稽(こっけい)なしぐさ、公家(くげ)や僧侶など偉いと言われる人々の風刺など、笑いの要素はさまざまです。室町時代には台本はなく、大まかな筋立てに沿って即興(アドリブ)で進めていたようです。このようにして生き生きと描き出された狂言は、時代を超え身分を越えて庶民にも好まれました。

    やがて狂言にも台本ができて洗練され、その時代の風刺もなくなっていきます。それでも今我々が見てわかりやすく、共感を覚えて笑うことができる点に、中世以来の伝統が生き、笑いの芸能としてあり続けた狂言の魅力を感じることができます。

    このような狂言につかわれる狂言面もまた、ユーモアに溢れた造形で私たちを楽しませてくれます。祖父(おおじ)、空吹(うそぶき)、乙(おと)など、いずれも個性的な表情をし、能面よりも自由な表現を感じることができます。面を着けない登場人物が多いため狂言面は二十数種にとどまりますが、同じ種類の面でも表情はさまざまで、そこがみどころです。

    ここに展示した狂言面から、大らかな中世の笑いに思いをはせ、そして狂言の公演に接してみてください。
     

 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
狂言面 毘沙門 室町時代・15~16世紀
狂言面 祖父 室町~安土桃山時代・16世紀
狂言面 乙 室町~安土桃山時代・16世紀
狂言面 うそぶき 室町~安土桃山時代・16世紀
狂言面 武悪 室町~安土桃山時代・16世紀
狂言面 猿 室町~安土桃山時代・16世紀