本館 20室
2012年5月15日(火) ~ 2013年1月14日(月・祝)
東洋絵画はどのような絵具で描かれているかご存知ですか?
絵具といってもチューブに入っているような絵具ではありません。古代から現代に至るまで、鉱物・植物・動物・昆虫など、自然界にある様々な材料を加工して使われてきました。原材料が異なるため、加工された絵具もその色調や使い勝手はすべて異なります。これらの様々な材料の特色を巧みに活かした描き方の一例をご紹介します。
モデルとなった作品は、中国の南宋時代・慶元3年(1197)に宮廷画家の李迪(りてき)によって描かれた国宝「紅白芙蓉図」のうち、ピンク色の花が描かれた一幅です。制作の順を追って忠実に再現したこの模型を通して、作品がどのように仕上がっていくか説明します。
また今回は、材料の特徴を説明するために2つの異なる材料で彩色を再現しました。材料別に描き分けられた作品を見比べることで、東洋絵画の絵具の種類の多様さについてご理解を深めていただければ幸いです。
東京芸術大学大学院博士課程 石井恭子