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「空海と密教美術」展 ジュニアガイド

「空海と密教美術」展(2011年7月20日(水)~2011年9月25日(日))から、とくに「曼荼羅」にテーマをしぼり、小学校高学年から高校生までを対象につくった鑑賞の手引き「ジュニアガイド」の内容をご紹介します。

 

「空海と密教美術」展 ジュニアガイド

  曼荼羅(まんだら)は仏教のことばで、「集まったもの」「満ち足りていること」「聖なる空間」などの意味があります。とくに仏教の美術では、たくさんの仏が規則正しく並んだ絵のことを、曼荼羅とよんでいます。曼荼羅は、複雑なお経の内容を絵にした、いわば「見るお経」です。真言密教(しんごんみっきょう)を日本に広めた、弘法大師(こうぼうだいし)とも呼ばれる空海(くうかい)も、密教のおしえを絵によって理解することの大切さを述べています。曼荼羅にはいろいろな種類がありますが、胎蔵界曼荼羅(たいぞうかいまんだら)と金剛界曼荼羅(こんごうかいまんだら)の2つの絵からなる「両界曼荼羅」(りょうかいまんだら)は、その代表です。
胎蔵界曼荼羅は『大日経』(だいにちきょう)、金剛界曼荼羅は『金剛頂経』(こんごうちょうきょう)というお経を絵でしめしたものです。もともと別々であった2つの曼荼羅が1つのセットとなり、空海はさらにその考えを発展させ、この2つの界(両界)が、大日如来という仏を中心とした密教の宇宙を表すと考えました。両界曼荼羅はお寺のお堂の壁にかけられ、その前で大事な儀式が行われました。
 

 

 これが両界曼荼羅のしくみだ! 大日如来イメージ
金剛界曼荼羅のしくみ   胎蔵界曼荼羅のしくみ
金剛界曼荼羅(こんごうかいまんだら)   胎蔵界曼荼羅(たいぞうかいまんだら)
金剛とはダイヤモンドのことで、大日如来の知恵が、こわれることのない強いものであることを表しています。9つのグループに分けられていて、右上の「理趣会(りしゅえ)」以外すべて中心が大日如来。まわりをとりかこむ仏たちとの間では、大日如来の知恵が、内から外、外から内へと、コンピュータの回路のように、たえまなく動き続けているのです。四角と丸の組み合わせが特徴的ですね。   大日如来を中心に、12のグループで構成されています。すべての仏は大日如来から生まれるのであり、それとおなじように、人々の心の中にある(胎蔵する)「さとり」を開く種を、大日如来が守り育てていくようすを表しています。金剛界曼荼羅では、大日如来の知恵が規則ただしく、縦横ななめに動いているのに対し、こちらでは太陽の光のように、やさしく力強く、中心から世界を照らしているのです。
 

 

必見!展覧会ではほかにもすごい曼荼羅が
 

高雄曼荼羅 金剛界

金剛界

 

高雄曼荼羅 胎蔵界

胎蔵界

  国宝 両界曼荼羅図(高雄曼荼羅) (たかおまんだら)
平安時代・9世紀 京都・神護寺
胎蔵界曼荼羅
2011年7月20日(水)~7月31日(日)展示
金剛界曼荼羅
2011年8月2日(火)~8月15日(月)展示

空海が中国・唐より持ち帰った両界曼荼羅を手本として描いたもので、絵の部分だけでも、縦横4メートルをこえます。日本で作られた中ではもっとも古い両界曼荼羅です。
         

血曼荼羅 金剛界

金剛界

 

血曼荼羅 胎蔵界

胎蔵界

  重要文化財 両界曼荼羅図(血曼荼羅) (ちまんだら)
平安時代・12世紀 和歌山県・金剛峯寺
金剛界曼荼羅
2011年8月16日(火)~9月4日(日)展示
胎蔵界曼荼羅
2011年9月6日(火)~9月25日(日)展示

平清盛が描かせたといわれ、胎蔵界の中心の大日如来の冠は、清盛の血をまぜて絵の具をぬったとの言い伝えがあることから、「血曼荼羅」ともよばれています。この絵も大きさは4メートル!
         

板彫両界曼荼羅 胎蔵界

金剛界

 

板彫両界曼荼羅

胎蔵界

  重要文化財 板彫両界曼荼羅
(いたぼりりょうかいまんだら)
中国・唐時代・8世紀 和歌山・金剛峯寺

胎蔵界曼荼羅・金剛界曼荼羅ともに2011年7月20日(水)~9月25日(日)展示
両界曼荼羅を板に彫りあらわした作品。縦が27センチほどと小さいのですが、曼荼羅の世界が、とても細かく彫刻されています。
 

  

  大迫力!仏像曼荼羅の宇宙へようこそ

 

 国宝 東寺講堂の諸像たち(8体)
平安時代 承和6年(839) 京都・東寺 2011年7月20日~9月25日(日)展示
    東寺講堂の諸像たち

photo:(㈱)ロケットジャパン 新岡重智

京都・東寺の講堂には、21体の仏像がならび、「立体曼荼羅」をかたちづくっています。空海は、金剛界曼荼羅の仏たちを基本に、独自の曼荼羅を考えだし、それを仏像で立体的に表現したのです。展覧会では、その中から8体の仏像がやってきます。大きさ、おこった顔ややさしい顔、さまざまなポーズなど、迫力のある仏像曼荼羅の宇宙を、ぜひ感じてください。  
東寺講堂の立体曼荼羅の配置と今回やってくる8体
 

 
空海って、どんな人

 弘法大師(こうぼうだいし)空海は宝亀5年(774)、現在の香川県善通寺市で生まれました。小さいころからいろいろな学問を勉強し、24歳のときに仏教の道にすすむことを決意します。延暦23年(804)には中国・唐にわたり、2年という短い間に、新しい仏教であった密教を学んで、日本に帰国しました。日本に戻ってからの空海は、密教の教えをさらに発展させてゆき、その教えは「真言密教」(しんごんみっきょう)として、多くの人々に受け入れられることになったのです。
密教の教えは奥が深く、絵や仏像などの「かたち」を使って理解することが重要でした。空海も密教とともに、両界曼荼羅などの絵や仏像・書物・道具などを持ち帰っています。日本に戻ってから各地に密教の道場をひらいて、かずかずの絵・仏像・道具を作らせ、書物を書きました。
空海は今も、和歌山県の高野山金剛峯寺の奥の院で生き続け、人々を見守っていると信じられています。
この展覧会では、そうした空海にかかわる美術と歴史を紹介しています。

   弘法大師像
  重要文化財 弘法大師像(部分)
鎌倉時代・13世紀 東京・西新井大師總持寺蔵
2011年8月2日(火)~8月28日(日)展示
 

 

ジュニアガイドのダウンロード

PDF(A3、4枚)をダウンロードし、プリントアウトして事前学習や見学の際にご活用ください。

下記リンクから4枚まとめてダウンロードして印刷できます。
「空海と密教美術」展 ジュニアガイド(A3、4枚)(PDF, 7.0MB)

 

表面(A3)(PDF, 2.0MB)

大迫力、仏像曼荼羅の宇宙へようこそ!
今回やってくる東寺講堂の諸像8体を含めた立体曼荼羅についての解説です。

 

中面(A3)(PDF, 2.0MB)

曼荼羅って何だろう?、空海ってどんな人?
そんな疑問にお答えします。

 

国宝 両界曼荼羅図(西院曼荼羅)
胎蔵界(A3)(PDF, 1.6MB)
平安時代9世紀 京都・東寺
2011年7月20日(水)~8月21日(日)展示

国宝 両界曼荼羅図(西院曼荼羅)のうち胎蔵界の見所をご紹介します。

 

国宝 両界曼荼羅図(西院曼荼羅)
金剛界(A3)(PDF, 1.6MB)
平安時代9世紀 京都・東寺
2011年8月23日(水)~9月25日(日)展示

国宝 両界曼荼羅図(西院曼荼羅)のうち金剛界の見所をご紹介します。


原稿サイズはA3です。プリントアウトの際、設定にご注意ください。
展示室でジュニアガイドにメモなどを書き込むときは、かならずえんぴつを使ってください。ボールペン、サインペンなどは使えません。