本館 14室
2011年7月12日(火) ~ 2011年10月2日(日)
ここで展示する2体の大日如来坐像は、作風、構造、像内に納入された品々(X線撮影によってわかります)の種類と納入方法などに共通するところが多く、しかも大変優れた出来ばえを示すものであるため、鎌倉時代初頭の巨匠、仏師運慶の作と推測されています。光得寺像の台座(獅子4頭を含む)、光背、厨子とその内部に付された三十七体の雲に乗る小さな仏の群像も同時期のものです。真如苑の像はそれらを失っていますが、同様の荘厳(しょうごん)がされていたのでしょう。両像ともに小さな像ですが、正面、側面、背面のどの角度から見ても頭髪、姿勢、からだの肉付き、衣の襞の写実的な表現がみごとです。
運慶が率いた慶派(仏師集団のひとつ。名前に「慶」の字のつく仏師が多いので慶派と呼ぶ)は、鎌倉時代に写実的で迫力のある作風を創造し、造仏界をリードしました。神奈川・曹源寺と当館の十二神将像は後者の方が繊細、華麗ですが、力強さ、動きの表現に注目すると相通ずるものです。曹源寺の子神、当館の申神の滑稽味のある表現が、運慶の孫康円の四天王南方天眷属像に受け継がれているのも見逃せません。