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本館リニューアル グランド・オープン時代別展示「日本美術の流れ」 (本館2階)概要

各展示室のテーマと概要

「日本美術の流れ」では、縄文時代から江戸時代までの日本の美術史を、国宝・重要文化財などの名品を数多く含む「ほんもの」の作品でたどります。

入り口は、縄文・弥生時代の造形をご覧いただく「日本美術のあけぼの」。それぞれの時代で「仏教の興隆」「宮廷の美術」「禅と水墨画」など、特色あるテー マを設定しているので、時代と文化の背景をつかみながら楽しめるでしょう。途中、国宝一点をじっくり鑑賞していただく「国宝室」も設けています。

一つ一つの作品にゆっくりむきあいながら、日本の文化とそこから生まれた日本美術の多彩な展開、そして日本人の美意識の変遷を味わうことができます。

 

1室

日本美術のあけぼの―飛鳥・奈良

およそ 12000年前に始まる縄文時代の土器や土偶(どぐう)の造形が「日本美術の流れ」のスタートです。つづいて、弥生時代の土器と銅鐸などの金属器、古墳時 代の土師器(はじき)・須恵器・埴輪(はにわ)など焼き物の造形美、鏡・武器・武具・馬具・装身具などの金属工芸やガラス工芸を展示します。

火焔形土器
火焔形土器
伝新潟県長岡市馬高出土 縄文時代・前3000~前2000年
  ■主な展示作品 (展示期間:2004年9月1日~2005年2月27日)
火焔形土器 伝新潟県長岡市馬高出土 縄文時代・前3000~前2000年
埴輪 盛装の男子 群馬県太田市四ツ塚古墳出土 古墳時代・6世紀

仏教の興隆―飛鳥・奈良

6世紀半ば、 朝鮮半島の百済から釈迦金銅仏などがもたらされたのが、日本に仏教が公式に伝わったはじめとされています。日本文化は仏教の受容とともに飛躍的に進歩しま した。この展示室では、飛鳥時代から奈良時代にかけての仏像や経典、舎利容器、仏具など古代の仏教美術を展示します。

賢愚経断簡(大聖武)
国宝 賢愚経断簡(大聖武) 伝聖武天皇筆
奈良時代・8世紀
  ■主な展示作品 (展示期間:2004年9月1日~2004年10月3日)
菩薩立像 飛鳥時代・7世紀
国宝 賢愚経断簡(大聖武) 伝聖武天皇筆 奈良時代・8世紀
 

2室 国宝室

絵画・書跡の国宝作品を、ゆったりとした空間で心静かに鑑賞するために、特別に設けた展示室です。東京国立博物館に所蔵、あるいは寄託されている国宝から、よりすぐった作品を1件ずつ展示します。

普賢菩薩像
国宝 普賢菩薩像
平安時代・12世紀
  ■展示予定作品 
国宝 普賢菩薩像 平安時代・12世紀 (2004年9月1日~2004年10月11日)
国宝 鳥獣人物戯画巻 甲巻 平安時代・12世紀 京都・高山寺蔵 (2004年10月13日~2004年11月21日)
国宝 華厳宗祖師絵伝元暁絵 鎌倉時代・13世紀 京都・高山寺蔵 (2004年11月23日~2004年12月26日)
国宝 白氏詩巻 藤原行成筆 平安時代・寛仁2年 (2005年1月2日~2005年2月13日)
国宝 伝藤原光能像 鎌倉時代・13世紀 京都・神護寺蔵 (2005年2月15日~2005年3月27日)
国宝 秋冬山水図 雪舟筆 室町時代・15世紀 (2005年3月29日~2005年5月8日)
 

3室

仏教の美術―平安~室町

平安時代に空海らが中国から導入した、密教の豊かな造形をご覧いただきます。平安後期から鎌倉時代にかけては新しい仏教の諸宗派が誕生。装飾経や、祖師像、高僧伝絵、寺社の由来や霊験譚(れいげんたん)をまとめた縁起絵など、この時代の仏教美術を展示します。

    ■主な展示作品 (展示期間:2004年9月1日~2004年10月3日)
国宝 十六羅漢像(第九尊者) 平安時代・11世紀
国宝 円珍贈法印大和尚位並智証大師諡号勅書 小野道風筆 平安時代・延長5年(927)

宮廷の美術―平安~室町

平安時代中 期、中国文化一辺倒だった宮廷文化は大きな転換期を迎え、日本的な美意識に基づく独自の文化を開花させました。この時代の文化を読み解く鍵は和歌と『源氏 物語』をはじめとする物語です。これらを書写した古筆、絵画化した絵巻、意匠化した工芸作品などを展示します。

平治物語絵巻(六波羅行幸巻)
国宝 平治物語絵巻(六波羅行幸巻)
鎌倉時代・13世紀 松平直亮氏寄贈
  ■主な展示作品 (展示期間:2004年9月1日~2004年10月3日)
国宝 平治物語絵巻(六波羅行幸巻) 鎌倉時代・13世紀 松平直亮氏寄贈
重美 古今和歌集巻第十八断簡(高野切本) 伝紀貫之筆 平安時代・11世紀 個人蔵

禅と水墨画―鎌倉~室町

鎌倉時代、禅の導入とともに、中国から水墨をはじめとする南宋から元にかけての美術がもたらされました。室町時代には水墨画は禅宗寺院の枠を越えて、日本に定着します。周文・雪舟・雪村・狩野元信などの水墨画の名品と禅僧の筆跡「墨跡(ぼくせき)」を展示します。

偈頌
偈頌 夢窓疎石筆
南北朝時代・14世紀
  ■主な展示作品 (展示期間:2004年9月1日~2004年10月3日)
国宝 竹斎読書図 伝周文筆 室町時代・15世紀
偈頌 夢窓疎石筆 南北朝時代・14世紀
 

4室 茶の美術

室町時代に生まれ、安土桃山時代に千利休が大成した「茶の湯」は、日本が世界に誇る伝統文化のひとつです。この茶の湯の世界を構成する書画、花入、懐石の器、水指、釜、茶入、茶杓、茶碗などを紹介します。

大井戸茶碗 有楽井戸
重美 大井戸茶碗 有楽井戸
朝鮮時代・15~16世紀
  ■主な展示作品 (展示期間:2004年9月1日~2004年12月12日)
重文 青磁茶碗 銘 馬蝗絆 龍泉窯 南宋時代・13世紀 三井高大氏寄贈
重美 大井戸茶碗 有楽井戸 朝鮮時代・15~16世紀
 

5室・6室 武士の装い―平安~江戸

平安時代末の源平の争乱から明治維新までの約700年にわたって、政治の実権を握った武士の文化を紹介します。武士の道具のなかでも最もたいせつにされた刀剣をはじめとして、甲冑や馬具、装束、さらに武士の肖像画や書状などを展示します。

白糸威鎧
国宝 白糸威鎧
鎌倉時代・14世紀 日御碕神社蔵
  ■主な展示作品 (展示期間:2004年9月1日~2004年12月12日)
国宝 群鳥文兵庫鎖太刀 (号上杉太刀) 鎌倉時代・13世紀
国宝 白糸威鎧 鎌倉時代・14世紀 日御碕神社蔵
 

7室 屏風と襖絵―安土桃山・江戸

襖や屏風に描かれた絵―障屏画の、大画面の魅力を味わうための部屋です。たとえば、金地極彩色の屏風と水墨画の屏風では、生み出される空間は大きく異なります。建築や時代によって異なる障屏画のさまざまな表現をご覧ください。

    ■展示作品 
国宝 楼閣山水図屏風 池大雅筆 江戸時代・18世紀 団伊能氏寄贈 (2004年9月1日~2004年10月11日)
重文 歌舞伎図屏風 菱川師宣筆 江戸時代・17世紀 (2004年10月13日~2004年11月21日)
 

8室

暮らしの調度―安土桃山・江戸

海外との交流が盛んになり、国内の経済活動も活発になった安土桃山時代、太平の世が250年以上も続いた江戸時代、このふたつの時代を通して日本文化は武家や町人たちに支えられ成熟の度を深めました。この時代に人びとの身の回りを飾った調度類を展示します。

柴垣蔦蒔絵硯箱
柴垣蔦蒔絵硯箱 古満休意作
江戸時代・17世紀
  ■主な展示作品 (展示期間:2004年9月1日~2004年12月5日)
鼠志野秋草図額皿 美濃 安土桃山~江戸時代・16~17世紀 個人蔵
柴垣蔦蒔絵硯箱 古満休意作 江戸時代・17世紀

書画の展開―安土桃山・江戸

多彩な展開を見せた安土桃山~江戸時代の書と絵画をご覧いただきます。
絵画では、永徳や探幽をはじめとする狩野派を中心に、宗達・光琳・抱一らの琳派、大雅・蕪村らの南画派、応挙を祖とする円山派、若冲・芦雪・蕭白ら個性的 な画家たちを輩出し、まさに百花繚乱。書は、新しい書風を打ち立てた近衛信尹・本阿弥光悦・松花堂昭乗の寛永の三筆の作品、江戸時代中期以降流行した唐様 (からよう)の書、さらにこの時代に活躍した武将や茶人の筆跡を展示します。

船窓小戯帖
重文 船窓小戯帖 田能村竹田筆
江戸時代・天保元年(1830) 個人蔵
  ■主な展示作品 (展示期間:2004年9月1日~2004年10月31日)
重文 船窓小戯帖 田能村竹田筆 江戸時代・天保元年(1830) 個人蔵
天狗説屏風 荻生徂徠筆 江戸時代・18世紀 愛染倉観光蔵
 

9室 能と歌舞伎―中近世の芸能

日本の伝統芸能に関わる面や衣裳、小道具や楽器などを紹介します。人間の表情を写し取った日本独特の造形、能面と、染織技術の粋を凝らした能装束で幽玄の世界を、歌舞伎衣装の奇抜で鮮明なデザインと色彩で江戸の「いき」をご堪能ください。

摺箔 紫地色紙葡萄模様
重文 縫箔 紫地色紙葡萄模様
江戸時代・16世紀
  特集陳列「金春座伝来能装束―金春安照時代の能面と能装束―」
大和猿楽四座の一つで、春日大社の春日若宮おん祭りの後宴能や、興福寺の薪能など、奈良の古い祭礼を守ってきた金春座(こんぱるざ)に伝わる衣装を展示します。
■主な展示作品 (展示期間:2004年9月1日~2004年10月31日)
重文 縫箔 茶地百合御所車模様 桃山時代・16世紀
重文 摺箔 紫地色紙葡萄模様 江戸時代・16世紀
 

10室

浮世絵と衣装―江戸
浮世絵―人びとの絵姿

17世紀中頃、美人や遊楽の様子を描いた庶民向けの絵や版画が数多く制作され「浮世絵」と呼ばれて人気を集めました。遊里や歌舞伎に題材を得た作品、花鳥画や物語絵、風景画など、個性豊かな浮世絵師による多彩な作品の数々を展示します。

遊女と禿図
遊女と禿図 懐月堂安度筆
江戸時代・18世紀
  ■主な展示作品 (展示期間:2004年9月1日~2004年9月26日)
遊女と禿図 懐月堂安度筆 江戸時代・18世紀
橋下の涼み船 鳥居清長筆 江戸時代・18世紀

衣装―江戸のファッションとデザイン

繊細な刺繍 (ししゅう)と摺箔(すりはく)で埋め尽くされた「慶長小袖」、大胆な構成の「寛文小袖」、王朝のモチーフを使った華麗な「元禄小袖」など、時代を追っていきいきとした変化を見せる江戸のファッションを紹介します。裾や裏地の見えない部分に意匠を凝らすなど、「いき」と呼ばれる独特の美意識にも注目ください。

小袖 藍綸子地熨斗菊花模様
小袖 藍綸子地熨斗菊花模様
江戸時代・17世紀 上林道子氏寄贈
  ■主な展示作品 (展示期間:2004年9月1日~2004年10月31日)
小袖 藍綸子地熨斗菊花模様 江戸時代・17世紀 上林道子氏寄贈
牧馬蒔絵印籠 底裏金蒔銘「常嘉斎」 江戸時代・19世紀


*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。