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「空海と密教美術」展

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    平成館 特別展示室
    2011年7月20日(水) ~ 2011年9月25日(日)

    密教の教えは奥深く、文筆で表し尽くすことはむずかしいので、図画を用いて教えを広める、という言葉を空海は残しています。そのため真言密教では造形を重視しました。この展覧会では、空海が唐から請来したもの、自筆の書、指導して造った仏像など空海ゆかりの作品と、その思想的な息吹を色濃くとどめる時代の作品を中心に、真言密教の名品の数々をご覧いただきます。

    (1)「密教美術1200年の原点-その最高峰がトーハクに大集結します。
    (2)展示作品の98.9%が国宝・重要文化財で構成されます。
    (3)全長約12mの「聾瞽指帰」をはじめ、現存する空海直筆の書5件を各巻頭から巻末まで展示します。
    (4)東寺講堂の仏像群による「仏像曼荼羅」を体感できます。
    (5)会場全体が、密教宇宙を表す“大曼荼羅”となります。

会期中、作品の展示替があります。展示作品リストをご覧ください。

展示作品リストへ

「空海と密教美術」展とあわせて観たい!おすすめ作品コース

1089ブログ「2011年度の特別展」 展覧会の見どころなどを紹介しています。

 

開催概要

会  期 2011年7月20日(水)~9月25日(日)
会  場 東京国立博物館 平成館(上野公園)
開館時間 9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
(ただし、会期中の金曜日は20:00まで、土・日・祝日は18:00まで開館)
休館日

月曜日(ただし8月15日(月)、9月19日(月)は開館)

観覧料金 一般1500円(1300円/1200円)、大学生1200円(1000円/900円)、高校生900円(700円/600円)
中学生以下無料
( )内は前売り/20名以上の団体料金
障がい者とその介護者一名は無料です。入館の際に障がい者手帳などをご提示ください。
前売券は、東京国立博物館 正門観覧券売場(開館日のみ、閉館の30分前まで)のほか、電子チケットぴあ(Pコード=764-577)、ローソンチケット(Lコード=33555)、 イープラスなど主要なプレイガイド、および展覧会公式ホームページ上のオンラインチケットにて、2011年7月19日(火)まで販売中。前売券の販売は終了しました。
早割ペア券(2200円)は、東京国立博物館 正門観覧券売場(開館日のみ、閉館の30分前まで)のほか、チケットぴあ(Pコード=764-578)、ローソンチケット(Lコード=33555)、イープラスなど主要なプレイガイド、および展覧会公式ホームページ上のオンラインチケットにて、2011年5月31日(火)まで販売。早割ペア券の販売は終了しました。
特別展「孫文と梅屋庄吉 100年前の中国と日本」(2011年7月26日(火)~9月4日(日)本館)は別途観覧料が必要です。
「東京・ミュージアムぐるっとパス」で、当日券一般1500円を1400円(100円割引)でお求めいただけます。正門観覧券売場(窓口)にてお申し出ください。2011年度版(2011年4月1日より販売)のみ有効です。
東京国立博物館キャンパスメンバーズ会員の学生の方は、当日券を1000円(200円割引)でお求めいただけます。正門観覧券売場(窓口)にて、キャンパスメンバーズ会員の学生であることを申し出、学生証をご提示下さい。
「空海と密教美術」展会期終了後の2011年9月27日(火)~2011年10月16日(日)まで、本特別展半券を当館正門観覧券売場にてご提示いただければ、当館総合文化展を半額の割引料金でご覧いただけます。
交  通 JR上野駅公園口・鶯谷駅より徒歩10分
東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、千代田線根津駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分
主  催 東京国立博物館、読売新聞社、NHK、NHKプロモーション
後  援 文化庁
特別協力 総本山仁和寺、総本山醍醐寺、総本山金剛峯寺、総本山教王護国寺(東寺)、総本山善通寺、遺迹本山神護寺
協  力 真言宗各派総大本山会、南海電気鉄道
協  賛 あいおいニッセイ同和損保、きんでん、大日本印刷、トヨタ自動車、非破壊検査
カタログ・音声ガイド 展覧会カタログ(2500円(トートバックとセットで2800円、トートバックのみは500円))は、平成館2階会場内、および本館地下ミュージアムショップにて販売しています。音声ガイド(日本語のみ)は500円でご利用いただけます。
お問い合わせ 03-5777-8600 (ハローダイヤル)
展覧会ホームページ http://kukai2011.jp/
展覧会公式サイトは会期終了時をもって終了いたしました。

 

関連事業

平成館 大講堂  2011年7月24日(日)   13:30 ~ 15:00   受付終了
平成館 大講堂  2011年8月27日(土)   13:30 ~ 15:00   受付終了
平成館 大講堂  2011年8月28日(日)   13:00 ~ 15:30   受付終了
平成館 大講堂  2011年8月4日(木) ~ 2011年8月6日(土)   13:00~16:15   受付終了

ジュニアガイド

特別展「空海と密教美術」展の鑑賞の手引きとして、ジュニアガイドを制作しました。PDFをダウンロードし、プリントアウトしてご活用ください。
 ジュニアガイドのページへ

展覧会のみどころ

 

仏像曼荼羅

 東寺講堂には大日如来を中心に21体の仏像が安置されています。規則性をもって群像が配置される様子は、まさに「立体曼荼羅」とよぶにふさわしいものです。空海が承和6年(839)の完成を見ることはできませんでしたが、尊像の選択と配置には空海の思想が反映されています。諸像は、奈良時代に東大寺などで活躍したのと同系統の工房によって製作されました。乾漆を併用する技法にその伝統がうかがえる一方、しなやかで肉感的な身体表現は、空海が請来した曼荼羅の尊像にみられる新しい表現です。本展では、その内の国宝8体による仏像曼荼羅が出現します。

「曼荼羅って、なんだろう?」(ジュニアガイドのページへ)

「仏像曼荼羅」人気No1は?(投票のページへ)
仏像曼荼羅の人気投票を行います。あなたはどの仏像が一番好きですか?

仏像曼荼羅
左から順に 国宝 「増長天立像(四天王のうち)」、国宝 「帝釈天騎象像」、国宝 「大威徳明王騎牛像(五大明王のうち)」、国宝 「降三世明王立像(五大明王のうち)」 国宝 「金剛法菩薩坐像(五菩薩のうち)」、国宝 「金剛業菩薩坐像(五菩薩のうち)」、国宝 「梵天坐像」、国宝「持国天立像(四天王のうち)」
以上全て平安時代・承和6年(839) 京都・東寺(教王護国寺)蔵
 

 

第一章 空海─日本密教の祖

 弘法大師空海は青年時代、都で儒教、道教、仏教といった様々な学問を修め、24歳の時に仏教修行の道を選ぶべきことを高らかに宣言します。
この章では、その宣言の書というべき名品「聾瞽指帰」をはじめとする自筆の書、空海が学んだ内容を彷彿させる奈良時代に書写された密教関係の経典の名品、肖像画の優品や一生の事績を絵画化した絵巻物を展示して、後に日本密教の祖となる空海の人物像の輪郭を紹介いたします。
「空海って、どんな人?」(ジュニアガイドのページへ)
重要文化財 弘法大師像 鎌倉時代・13世紀 東京・西新井大師總持寺蔵
[展示期間:2011年8月2日(火)~8月28日(日)]

空海の肖像画としては、高弟の真如法親王がその姿を写したとの伝承をもつ、椅子上にやや顔を右に向けて坐り、右手に五鈷杵(ごこしょ)、左手に数珠を持つ姿が最も流布しています。早い時期の作例は少なく、本展では、現存する中で制作時期の早い絹本の優作3例が全て出品されます。
聾瞽指帰 巻頭
国宝 聾瞽指帰(ろうこしいき) 
空海筆 
平安時代・8~9世紀 和歌山・金剛峯寺蔵
[展示期間:上巻 2011年7月20日(水)~8月21日(日)、下巻 8月23日(火)~9月25日(日)]

空海が延暦16年(797)に著述した『三教指帰(さんごうしいき)』の自筆草稿本と考えられます。使われた書体は行書が主で処々に草書が記されています。文中には文字の入れ替えを示す顛倒符・脱字の加筆などがあり、草稿であることを裏付けています。青年時代の空海の書法、文才、仏教に対する思いを現代に伝えてくれます。内容は儒教・仏教・道教の教えを擬人化した3人の人物が登場し、教えをめぐって対決させ、最終的には仏教が他を説き伏せるという物語で仏教の優位を説いたものです。

 

 

 

第二章 入唐求法(にっとうぐほう)─密教受法と唐文化の吸収

 延暦23年(804)、空海は日本から唐への公式の使節である遣唐使の一員として唐へ渡ります。そこでは、わずか2年という短期間のうちに、豊かな唐文化を吸収し、当時、最新の仏教の一派として隆盛していた密教の奥義をも修め、師から密教流布を託されます。
この章では、空海が師から託されて唐から日本へ持ち帰ったそのもの、あるいは空海が持ち帰ったと伝えられる、世界的に見ても貴重な唐時代の絵画、仏像、法具などを展示いたします。
宝相華迦陵頻伽蒔絵冊子箱
国宝 宝相華迦陵頻伽蒔絵冊子箱 (ほうそうげかりょうびんがまきえさっしばこ) 
平安時代・10世紀 京都・仁和寺蔵
[展示期間:2011年7月20日(水)~8月21日(日)]

乾漆で成形し、黒漆地に金銀の蒔絵で宝相華文様と人面鳥身の迦陵頻伽を表しています。中央の銘文から、空海が唐で書写した密教の法典を30の冊子に仕立てた国宝「三十帖冊子」を納める箱であることがわかります。延喜19年(919)、醍醐天皇から冊子用の箱として下賜されました。
密教法具
 
錫杖頭
国宝 密教法具(みっきょうほうぐ)
空海請来 唐時代・9世紀 京都・東寺(教王護国寺)蔵

金剛盤の上に五鈷鈴(ごこれい)と五鈷杵を据えた密教法具のセット。密教ではこうした組法具が修法壇に置かれました。空海が帰国するにあたって、師の恵果が授けた法具類の一部と考えられるもので、東寺では空海請来の霊物として高い価値を置かれ、重要な修法で用いられてきました。
 
国宝 錫杖頭(しゃくじょうとう)
唐時代・8世紀 香川・善通寺蔵

錫杖は、振って遊鐶(ゆうかん)と呼ばれる輪を揺すり鳴らす仏具。この錫杖は如来を中心に梵天・帝釈天や四天王像など、唐代の様式を示す仏像を配し、頂部には火焔宝珠を据えており、数ある錫杖の中でもきわだって華麗な造りです。空海が請来したと伝えられています。
諸尊仏龕
 
真言七祖像 不空
国宝 諸尊仏龕(しょそんぶつがん)
空海請来 唐時代・8世紀
和歌山・金剛峯寺蔵

仏龕とは、仏像と厨子を1つの材から彫り出したものです。この仏龕は白檀製で、釈迦如来と考えられる像を中心に脇侍や羅漢、天蓋などが緻密に表されます。空海が中国から持ち帰ったもので、中国に密教を伝えたインド僧の金剛智から空海まで、密教の正系の証といえます。
 
国宝 真言七祖像(しんごんしちそぞう) 
李真等筆 空海請来
唐時代・9世紀 / 平安時代・9世紀
京都・東寺(教王護国寺)蔵
[展示期間:龍猛・善無畏 2011年7月20日(水)~8月7日(日)、龍智・金剛智・不空 2011年8月9日(火)~9月4日(日)、一行・恵果 2011年9月6日(火)~9月25日(日)]

空海の師・恵果が、空海に与えるため唐の宮廷画家・李真等に制作させた金剛智・善無畏・不空・恵果・一行の5人の密教祖師像に、弘仁12年(821)に空海の指導のもと、日本で制作された龍猛・龍智の肖像を加えたものです。空海が直接係わった根本の祖師像として貴重であり、唐代宮廷画家の手になる本格的な絹本彩色の肖像画遺品としても世界的に貴重な画像です。

 

 

 

第三章 密教胎動─神護寺・高野山・東寺

 唐から帰国した空海は、高雄山寺(現在の京都・神護寺)に居を定め、密教の諸仏との縁を結ぶ灌頂の儀式を初めて行うなど、精力的に密教の布教活動を始めます。朝廷とのつながりも持ち、やがて高野山の開創に着手、本来王城を護るための国立の寺院であった東寺も賜り、密教の道場として整備していきます。
この章では、日本の密教寺院の原点ともいえるそれらの寺院に関わる絵画、書、仏像、工芸などを展示いたします。
両界曼荼羅図
金剛界
国宝 両界曼荼羅図(高雄曼荼羅)(りょうかいまんだら(たかおまんだら))
平安時代・9世紀 京都・神護寺蔵
[展示期間:胎蔵界 2011年7月20日(水)~7月31日(日)、金剛界 2011年8月2日(火)~8月15日(月)]

現存最古の両界曼荼羅図。淳和天皇の御願により、空海の指導のもと、天長6年(829)から天長10年(833)の間に、大同元年(806)に空海が唐から請来した原本あるいは弘仁12年(821)の第一転写本を手本として彩色を金銀泥に置き換え、神護寺の灌頂堂用として制作された曼荼羅です。空海請来本の様式をほぼそのまま伝えるものとして古くから重要視されています。
両界曼荼羅図
胎蔵界
重要文化財 両界曼荼羅図 (血曼荼羅)(りょうかいまんだらず(ちまんだら)) 
平安時代・12世紀 和歌山・金剛峯寺蔵
[展示期間:金剛界 2011年8月16日(火)~9月4日(日)、胎蔵界 2011年9月6日(火)~9月25日(日)]

空海請来の曼荼羅の図様を継承する現図と呼ばれる系統の曼荼羅の中で、請来本の巨大な規模も伝える彩色本として現存最古と考えられるものです。寺伝によれば久安5年(1149)の火災で焼失した金剛峯寺金堂の東西両壁用に、平清盛の寄進によって制作されたと伝えられます。清盛が胎蔵界の大日如来の宝冠に自らの頭の血をまぜて彩色したとの伝えから「血曼荼羅」とも呼ばれています。
灌頂歴名
巻頭
国宝 灌頂歴名(かんじょうれきめい) 
空海筆 平安時代・弘仁3年(812) 京都・神護寺蔵
[展示期間:2011年7月20日(水)~8月21日(日)]

空海は弘仁3年(812)から4年にかけて、3度にわたって高雄山寺(神護寺)において両部灌頂を授けました。その受者の名簿にあたるもので、その中には最澄も含まれています。僧侶・俗人の灌頂受者と結縁した仏・菩薩などの名が、各受者ごとに記されており3通からなります。時間のない中で急いで記されたものであるらしく書風や筆致に差がありますが空海の書の中でも力強いものでその特徴がよく残されています。
風信帖
第一通
国宝 風信帖(ふうしんじょう)
空海筆 
平安時代・9世紀 京都・東寺(教王護国寺)蔵
[展示期間:2011年8月23日(火)~9月25日(日)]

空海が最澄にあてた3通の自筆の手紙を継いだものです。その名は第一通の冒頭に「風信雲書」とあることにちなみます。奥書よりもともとは5通ありましたが、1通は盗難にあい、もう1通は天正20年(1592)関白豊臣秀次に進上されたとあります。延暦寺に伝来しましたが、付属の寄進状より文和4年(1355)に東寺の所有になったことが分かります。内容より空海39歳から40歳ころのものと推測されます。

 

 

 

第四章 法灯─受け継がれる空海の息吹

 空海の活動は弟子たちに受け継がれ、さまざまな造形が生み出されるとともに、唐からの新たな絵画、仏像等の請来も行われました。
この章では、空海の息吹がまだ色濃く残る9世紀から10世紀の絵画、書、仏像、工芸を中心に、空海の活動がどのように受け継がれていったのかをご覧いただきます。
両界曼荼羅図
胎蔵界(部分)
 
 
(部分)
国宝 両界曼荼羅図(西院曼荼羅)(りょうかいまんだらず(さいいんまんだら)) 
平安時代・9世紀 京都・東寺(教王護国寺)蔵
[展示期間:胎蔵界 2011年7月20日(水)~8月21日(日)、金剛界 2011年8月23日(火)~9月25日(日)]

東寺の西院で用いられていたものです。空海請来本とは系統を異にしますが、彩色の両界曼荼羅として最古の遺品。丸顔に左右が長く連なったような眉を描く独特の風貌や鮮麗で濃厚な彩色、強い隈取など、エキゾチックな画風が特徴です。
 
国宝 帝釈天像 (たいしゃくてんぞう)(十二天のうち)
平安時代・9世紀 奈良・西大寺蔵
[展示期間:2011年8月9日(火)~8月28日(日)]

十二天とは、東・西・南・北、北東・南東・南西・北西、上・下の十方位に、日・月を加えた密教の守護神です。法要の時に道場守護のため画像が用いられます。鳥獣座と呼ばれる動物に乗った量感豊かな姿は、空海が私的に請来したと考えられる図像の写しである醍醐寺の「十天形像」(本展出品)にほぼ一致します。

 

 国宝 阿弥陀如来および両脇侍像
 
 重要文化財 如意輪観音菩薩坐像
国宝 阿弥陀如来および両脇侍像(あみだにょらいおよびりょうきょうじぞう)
平安時代・仁和4年(888)京都・仁和寺蔵

仁和4年(888)に建てられた京都・仁和寺金堂の本尊です。東寺講堂の諸像と同系統の工房が制作したものです。しっかりとした体つきですが、ふくよかな顔、全体に和らいだ感覚は、11世紀に完成する日本風の表現の出発点となる作品です。
 
重要文化財 如意輪観音菩薩坐像(にょいりんかんのんぼさつざぞう)
平安時代・9世紀 京都・醍醐寺蔵

醍醐の水神を祀る清滝宮に安置されていました。ふくよかな顔と、くつろいだ姿は大変に優雅で、斜めに傾けた頭部と体部、それに6本の腕という複雑な姿をうまくまとめています。冠や胸飾り、腕の飾りは、それぞれ1枚の薄い銅板を切り抜いた精巧なものです。

 

国宝 観心寺縁起資財帳
巻頭
国宝 観心寺縁起資財帳(かんしんじえんぎしざいちょう) 
平安時代・元慶7年(883)大阪・観心寺蔵
[展示期間:2011年7月20日(水)~8月21日(日)]

正確には「観心寺勘録縁起資財帳」と言い、天長2年(825)真紹(しんしょう)によって建立された河内国観心寺における寺地や堂宇、安置される仏像、仏画、経典、諸法具や寺が管理する荘園などを列挙したもの。末尾にある元慶7年9月15日の日付と同寺三綱の連署があることから僧綱(僧尼を管理する僧官)に提出されたものと推測されます。空海の教えを継承した真言教団の発展段階を裏付ける史料でもあります。

 

国宝 薬師如来および両脇侍像(やくしにょらいおよびりょうきょうじぞう)
平安時代・延喜13年(913) 京都・醍醐寺蔵

空海の孫弟子に当たる聖宝が、延喜7年(907)に造像を始め、途中で没したため弟子の観賢が完成させた像です。近年まで山中の上醍醐に安置されていました。意志の強そうな表情、大きな頭部がめり込むようなどっしりとした体つきは、10世紀初め頃の仏像にみられる表現です。
 

 

10日間限定公開

重要文化財 三鈷杵(飛行三鈷杵)   金念珠
重要文化財 三鈷杵(飛行三鈷杵) (さんこしょ(ひぎょうさんこしょ))
伝空海所持 平安時代・9世紀 和歌山・金剛峯寺蔵
[展示期間:2011年7月31日(日)~8月11日(木)]

空海が唐からの帰国に際し、密教を広めるのに相応しい地を求めて明州の港から三鈷杵を空中に投じたところ、それが遠く飛行して、高野山中の松の枝に懸ったという伝承をもちます。
  金念珠(きんねんじゅ)
伝空海所持 唐時代・9世紀 和歌山・竜光院蔵
[展示期間:2011年7月20日(水)~7月30日(土)]

空海の住坊であった高野山の竜光院に秘蔵されてきたもので、空海が在唐中に順宗皇帝から贈られたとの伝えを持つ純金製の念珠です。