本館 14室
2011年4月26日(火) ~ 2011年7月10日(日)
今私たちが日常的に使っている鏡は、近代以降に生産されるようになったガラス鏡で、それ以前は、鏡といえば金属製が一般的でした。金属鏡はすでに4000年前の古代エジプトで使用され、中国でも紀元前5世紀の周代後期には銅鏡が鋳造されています。紀元前2世紀の弥生時代には、大陸から日本にも銅鏡が伝わり、古墳時代4世紀から奈良時代8世紀には、そうした舶載鏡(はくさいきょう)を模倣した銅鏡の製作がさかんに行われました。銅鏡は、鏡面を磨いて像を映し、背面にはさまざまな文様を鋳表(いあらわ)すことが一般的でした。8世紀から10世紀にかけては、中国鏡を模して、めでたい花や鳥獣を旋回するように配したものが主流でしたが、表現はしだいに柔和さを増し、11世紀以降は日本的な情緒にとんだ動植物や景物を表現するようになります。こうした日本独自の文様や形式の展開は、こののち江戸時代まで続きました。これらを総称して、和鏡と呼んでいます。
この特集陳列では、中国鏡を模倣した奈良時代8世紀の「唐式鏡(とうしききょう)」からはじめて、平安~江戸時代までの和鏡を展示し、その形式的な移り変わりや、多彩な文様表現をご覧いただきます。