平成館 企画展示室
2011年3月15日(火) ~ 2011年5月15日(日)
古代の代の中国では、簡便な方法で複写をする拓本の技法が考案されました。現存する最古の拓本は、敦煌(とんこう)の蔵経洞(ぞうきょうどう)で発見された唐時代の「温泉銘」ですが、拓本の起源はそれ以前に遡ると考えられています。しかし唐時代の拓本は、ごく僅かしか残されていません。
広義には、歴代の石刻を碑(ひ)と総称しています。碑は篆書(てんしょ)や隷書(れいしょ)や楷書(かいしょ)など、荘重で整斉な書体が多く用いられます。一方、書法を伝えるために木や石に名筆を刻したものを帖(じょう)といい、行書や草書など実用の書体が多くを占めています。
毎年恒例となった東京国立博物館と台東区立書道博物館との連携企画、今回は中国の著名な拓本に焦点をあてます。書の学習において最も基本となる拓本をとりあげるだけでなく、その流転にも目を向け、拓本の見方はもとより、収蔵者や伝来の経緯についてもご紹介します。原石がすでに失われた貴重な唐拓・宋拓や、王羲之(おうぎし)の名品などを通して、拓本の魅力をお楽しみください。