国宝 法華経(久能寺経) 方便品(部分) 平安時代・12世紀 静岡・鉄舟寺蔵
本館 2室
2018年4月10日(火) ~ 2018年5月13日(日)
静岡・久能山(くのうざん)にあった久能寺(現在の鉄舟寺)に伝わったため、「久能寺経」と呼ばれます。『法華経』一品経(いっぽんぎょう)28巻と、開経(かいきょう)『無量義経(むりょうぎきょう)』、結経(けちきょう)『観普賢経(かんふげんきょう)』を合わせて、もとは全30巻ありました。極楽往生(ごくらくおうじょう)を願って一人が一巻を担当して合計30人で制作したものです。各巻の巻末に、その巻の制作を担当した人の名前が記されており、そこから鳥羽法皇(とばほうおう)(1103~56)と、皇后・待賢門院璋子(たいけんもんいんしょうし)(1101~45)、女御・美福門院得子(びふくもんいんとくし)(1117~60)の周辺で作られたことがわかっています。とくに、待賢門院の関係者の名前が多いため、待賢門院が仏門に入った永治2年(1142)2月に成立した可能性が高いと考えられます
方便品は、法華経二十八品中の前半十四品(迹門(しゃくもん))の中心をなす品で、仏の智慧はたやすく知り難いと述べ、真実の姿を見極める仏の深い智慧を信じて、これを悟り極めるよう説いたもの。 料紙には多様な染紙(そめがみ)を使用し、金銀の大切箔、小切箔、芒(のげ)が散りばめられ、金銀泥による文様も描かれています。表紙に羅(ら)などの繊細な裂地(きれじ)を使い、見返しには平安貴族の姿が描かれているものもあります。当時は、願いをこめるほどこのように経巻を飾り立てました。 平安時代後期を代表する絢爛豪華な装飾経をご堪能ください。
指定 | 名称 | 員数 | 作者・出土・伝来 | 時代・年代世紀 | 所蔵者・寄贈者・列品番号 | 備考 | |
おすすめ | 国宝 | 法華経(久能寺経) 方便品 | 1巻 | 平安時代・12世紀 | 静岡・鉄舟寺蔵 |