国宝 華厳宗祖師絵伝 元暁絵 巻中(部分) 鎌倉時代・13世紀 京都・高山寺蔵
本館 2室
2017年7月4日(火) ~ 2017年7月30日(日)
新羅(しらぎ)国の華厳宗の祖・元暁(617~685)の事績を描いた絵巻です。
988年、北宋(ほくそう)で編まれた『宋高僧伝(そうこうそうでん)』という高僧の伝記集をもとにストーリーが構成されています。そのクライマックスは、龍宮(りゅうぐう)からもたらされた金剛三昧経(こんごうさんまいきょう)の内容を元暁が講じ、その徳により王妃の病を癒やしたというくだりです。今回展示しているのは、王の使いが龍宮から金剛三昧経を持ち帰るという場面です。
一見、素朴さを感じさせるおおらかな表現ですが、墨線は自在で、画面の構成も正確です。薄墨(うすずみ)を用いた軽やかな筆線、透明感のある明るい色調なども、この絵巻の魅力です。また、画面に「~するところ」といった、場面説明や話し手のセリフの書き込み(画中詞(がちゅうし))によってストーリーを展開させていくのも、この絵巻の大きな特徴といえるでしょう。
元暁と並ぶ新羅国の華厳宗の祖・義湘(ぎしょう、625~702)の事績を描いた義湘絵とともに、京都・高山寺に伝わりました。鎌倉時代前期に高山寺を再興させた華厳宗の僧侶、明恵(みょうえ)上人の周辺で制作されたと考えられています。
指定 | 名称 | 員数 | 作者・出土・伝来 | 時代・年代世紀 | 所蔵者・寄贈者・列品番号 | 備考 | |
おすすめ | 国宝 | 華厳宗祖師絵伝 元暁絵 巻中 | 1巻 | 鎌倉時代・13世紀 | 京都・高山寺蔵 |