国宝 白氏詩巻
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国宝 白氏詩巻（部分） 藤原行成筆 平安時代・寛仁2年(1018)
本館 2室
2016年2月16日（火） ～ 2016年3月13日（日）色変わりの美しい料紙に、中国・唐時代の白居易（白楽天）の詩集『白氏文集』の巻第65から8篇の漢詩を、瀟洒で明るい書風で書き進めています。平安時代の宮廷貴族にとって、このような漢詩文は必須の教養とされ、とくに『白氏文集』は大いにもてはやされ、愛誦されていました。
本作は、三跡の一人で和様の書法を完成させた能書である藤原行成（972～1027）が依頼されて揮毫した調度手本です。いわゆるお習字のお手本とは異なり、宮廷貴族の贈り物に選ばれ、身の回りにおいて鑑賞されたものです。巻末の奥書に「寛仁二年」とあることから、藤原行成の47歳の筆跡であることがわかります。奥書に続けて、行成を始祖とする能書の家系、世尊寺家の第五代当主・藤原定信（1088～1154～？）が跋を加え、小野道風筆の「屏風土代」（宮内庁三の丸尚蔵館蔵）とともに、この行成の巻物を購入したことを記しています。また、紙背の継ぎ目の部分には、能書帝として著名な伏見天皇（1265～1317）の花押があり、もとは天皇遺愛の品であったことも伝えています。
奥書で藤原行成は、「経師」（経文の書写や経巻の表装を業とする人）の筆を借りて書いたため普段とは違っており、笑わないでほしい、と述べています。しかし、整った字形、墨の濃淡や行草のバランスも見事であり、行成の本領を発揮した圧巻の筆跡となっています。
| 指定 | 名称 | 員数 | 作者・出土・伝来 | 時代・年代世紀 | 所蔵者・寄贈者・列品番号 | 備考 | |
| おすすめ | 国宝 | 白氏詩巻 | 1巻 | 藤原行成筆 | 平安時代・寛仁2年(1018) | B-2533 |